Philosophy of the gentleman

Mr.紳士の哲学

紳士の哲学では、紳士道を追求するにあたり、
是非参考にしたい紳士の先人たちのインタビュー・記事を通して学んでいきます。

ジョルジョ・スタラーチェ

駐日イタリア大使

ファッション哲学

イタリアのクリエイティビティは、枯れることのない泉のように湧き出してきます。

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【大名屋敷跡のイタリア大使館】
新任の駐日イタリア大使、ジョルジョ・スタラーチェ閣下が来日して3カ月余り(2017年6月現在)。
大名屋敷跡に建つイタリア大使館に伺ってきた。
広大な日本庭園が広がるここイタリア大使館は、伊予松山の松平岐守(おきのかみ)の中屋敷跡で、実は、赤穂浪士の大石力をはじめとする若人たちが切腹した場所でもある。
徳川幕府が終焉を迎えた後、屋敷は内閣総理大臣を2度務めた松方正義の手に渡り、イタリア大使館となった。
東京に数々大名屋敷跡あれど、現在その形を残している所はほとんどなく、イタリア大使館だったからこそ今もそこに現存し、当時に思いをはせることができる。
その敷地に、イタリアの建築家ピエ-ル=フランチェスコ・ボルゲーゼが原案を作成し、日本の建築家村田政真が参加して1965年に竣工された建物が建っている。
庭には四季折々の花が咲き乱れ、窓越しに見える日本庭園を背景にお話を伺っていると一枚の絵画のように美しく、時を忘れる。

イタリア大使館の広大な日本庭園

【ずっと日本に憧れていた】
スタラーチェ閣下は、とても活動的で快活、エネルギーにあふれている。
着任早々、日本語を少しでも覚えようと、ことあるごとに「これは日本語で何というのか」「その日本語はどういう意味か」とスタッフに質問している。
スピーチをするときには、少しだけ日本語を使い「今日はここまで」と笑顔で言うと、会場がわく。
たいへんな勉強家でもいらっしゃる。
ボッコーニ大学経済学部、「日本でいう慶応大学のような所」(と大使が教えてくださった)、を卒業して外務省に入った。なぜ外交官になったのかと尋ねてみた。
「イタリアには日本のように新聞を宅配してくれるシステムはないので、小さい頃から自分で新聞をわざわざ買いに行って読むほど新聞が好きでした。もちろんインターネットはありませんでしたしね(笑)。外交問題などに興味があって国際ページを食い入るように読んでいました。そうしたことが基盤にあったのかもしれません」。

宝物は「家族」と即答。ダンディ―とは「ファッションを自然体で解釈する人」

【熱望すれば夢はかなう】
最初に日本を訪れたのは、1991年の冬。
医師の奥様と共に東京、京都を訪ね、雪の積もる比叡山の美しさに心打たれた。
その時、「いつか、日本に来たい」と奥様に夢を語り、それが「一つの目標になった」と言う。
「人生何かを熱望して、それに向かってこうなりたいと強く念じるとそれが叶うと言いますが、夢にまで見た日本にイタリア大使として着任できたのは、私にとって最高の幸せです」。
そして、それが現実になった今、「期待以上の街、国であり、魅力的で素晴らしく、新たな冒険の始まりで、とても楽しみにしている」と笑顔で穏やかに語る。
着任するとすぐ日本製の赤い電動自転車を購入して、公務が終わると夜な夜な東京の街を走り回っている。
「仕事から少しでも解放されると、迷子にならないようにGoogleMAPを使って自転車であちこち行ってみるんですが、赴任中の間に全部見られるだろうかと思うぐらい素晴らしいところがたくさんありますね。
数々の体験と感動があり、週末には郊外に出たりもします」。
日本ですでに富士山での自転車レース「エロイカ」にも参加したアスリートでもある。
ご自身のFacebookのTOPページは「一番大事にしている、愛しの富士山」の写真。
「私の誕生日は『富士山の日』と同じ、2月23日。昔から惹かれるものがあって、勝手に絆が深いと思っているんです(笑)」。
この夏は家族を連れて登ることも計画中だ。

アクセサリー小物が大好きで、サングラスは特にたくさん持っている

【日伊国交150周年の後】
日本とイタリアにとって去年は、日伊国交150周年という記念すべき年だったが、これからの日伊関係をどのように考えているのだろう。
「イタリアと日本はとても似ているのではないでしょうか。
両国とも戦争で敗北をしましたが、平和を勝ちとりました。
私たちの父親の世代に戦争で荒れ果て何もなくなってしまいましたが、そこから素晴らしい経済的、社会的な基盤を作り大成功をおさめた。
それは親の世代の方たちに感謝すべきことだと思っています。私の任期の間に、国同士の経済や平和のために様々なことができると思います。
それが、親が残してくれた過去を守り、そのまま成長、発展、拡大していくことにつながるでしょう。
今後、イタリアと日本は、たくさん一緒にできることがあります。
互いに市場としてはとても成熟していますし、高度でもあります。
日本企業とイタリア企業でテクノロジーやリサーチ、研究などを共に進めるようなラボラトリーのような機関というか、コラボレーションできるような新しいビジネス、それから協力体制をとってジョイントベンチャーなどもしていければいいですね。
また、ヨーロッパでも私たちの時代ではわからなかったようなスタートアップビジネスが生まれています。そうしたことを強化していきたいと考えています」。
「笑顔でいることがモットー」という大使。
イタリア人の良さは、いつも笑顔でいることだそうだ。
「日本人は、昼間、あれほどまじめに仕事をしていても、夜になると無礼講と言うんですか?酔っぱらって羽目を外して別人のように変身してしまう。厳しい社会を生き抜くにはそういうことも必要ですよね。イタリア人も真似しないと(笑)」。
日本とイタリア、ますます、親交が深められそうだ。

文:岩崎由美

ジョルジョ・スタラーチェ

ジョルジョ・スタラーチェ
駐日イタリア大使

1959年イタリア・ヴィテルボ市生まれ。1982年ボッコーニ大学経済学部卒業。85年イタリア外務省入省。在グァテマラ、在中国(北京)、イタリア外務省経済局、イタリア農業政策大臣外交顧問参事官、在ニューヨーク国際連合イタリア政府代表部一等参事官、在インド(ニューデリー)、イタリア農業政策大臣外交顧問を経て全権公使となる。在アラブ首長国連邦、イタリア外務・国際協力大臣リビア担当特使の後、17年駐日イタリア大使として着任。16年イタリア共和国功労勲章コンメンダトーレ賞受勲。

座右の銘
実行する、行動することです。
おススメの本
ドフトエフスキーの『罪と罰』が好きで、若い頃から何回も読んでます。今、読んでいるのは、『Asia al centro(中心から見たアジア)』。文化担当官だったFranco Mazzeiと 日本にも在住したことがあるコンサルティング会社社長のVittorio Volpi の共著で、社会的、文化的、そして経済学者から見たアジアが描かれていて、今の時代にとても面白いですね。
おススメの映画
映画が大好きなので、ひとつあげるのは難しい。「タクシードライバー」「地獄の黙示録」「グレートビューティー」「エーゲ海の天使」等、たくさんあります。

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。