Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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「アール・デコとモード」京都服飾文化研究財団(KCI)コレクションを中心に

今年はパリで開催されたアール・デコ博覧会から100年。あちこちで「アール・デコ」関連の展覧会が開かれています。三菱一号館美術館では「アール・デコとモード」展が始まりました。見れば見るほど、この時代のファッションは素敵。京都服飾文化研究財団(KCI)所蔵の約60点の服飾と、約200点の小物、さらに絵画、工芸、グラフィック作品約100点、またジュエリーや化粧道具などが展示されています。

アール・デコのファッションは、身体のラインを見せない直線裁ちが特徴です。これを打ち出したのがポール・ポワレやガブリエル・シャネル、ジャンヌ・ランバンといったパリのクチュリエ(服飾デザイナー)たち。1920年代の手わざと計算されつくした構成が見事です。

左がペール作イヴニング・ドレス1919年KCI 右がジャン・パトゥ作イヴニング・ドレス1927年KCI

ジャン・パトゥの1927年のイヴニングドレスは、薄い絹シフォンの上に小さなビーズやラインストーンがオートクチュールならではの技術で縫い留められ、花弁状のピースが上から下に行くに従って大きくなっています。着ると揺れて、様々な動きを見せ、どれほどエレガントでしょう。

このころ、下着もウエストを絞るためのコルセットは使わずブラジャーになり、膝下丈のスカートの中から見える脚がきれいにみえるように絹製のストッキングが流行りました。

この豪華なヒールは1925年頃のもので、靴をあつらえる前のサンプルです。「ジュエルド・ヒール」と呼ばれ、趣味を表すバロメーターとなりました。

左手前の黒のイヴニング・ドレスは、ジャンヌ・ランバンの1920年代前半の作品(KCI所蔵)。黒の光沢のある布地にアステカのような模様が印象的です。

ガブリエル・シャネルは、軽やかで動きやすい革新的なモードを取り入れました。4点ともシャネル。

一番右が、マドレーヌ・ヴィオネの1929年のイヴニングドレス(KCI)。スカートのジグザグパーツは、今も着られているデザインです。昨日、これに似たドレを着た人がTV番組に出ていました。普遍のデザインは素晴らしい。

 

バッグや小物、絵画やグラフィック作品が当時を彷彿とさせ、解放された女性たちの声が聞こえてくるようです。

今回の展覧会を三菱一号館美術館と共催するKCIは、西洋の服飾やそれに関する資料を体系的に収集、保存、調査研究する機関で、1978年にワコールが支援して設立されました。17世紀から現代までの服飾資料約1万3000点、文献資料を約2万点所蔵しています。

「アール・デコとモード」京都服飾文化研究財団(KCI)コレクションを中心に 2025年10月11日(土)~2026年1月25日(日)HPはコチラ

*2025年10月11日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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