Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
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紳士のためのエンターテイメント

「テート美術館所蔵 コンスタブル展」 三菱一号館美術館

19世紀イギリスの国民的風景画家ジョン・コンスタブルは、英国らしさを体現した画家として人々から愛され、絵葉書から日用品に至るまでその図柄があしらわれるほどイギリス人にとっては身近な存在です。

英・テート美術館から来日した約40点を含めた約70点と、同時代の画家の作品約20点を加え、コンスタブルの魅力を伝える展覧会が35年ぶりに三菱一号館美術館で開かれています。

右)ジョン・コンスタブル「ウォータールー橋の開通式」1832年発表 テート美術館蔵 左)J.M.W.ターナー「ヘレヴーツリュイスから出航するユトレヒトシティ64号」1832年東京富士美術館蔵

コンスタブルは、1歳年上のターナーとともに革新的な風景画を描きました。それまでは理想化された古典的な風景表現が主流でしたが、それに対し、目の前の自然を観察して丹念に描き近代的な風景画を築き上げました。

同じ風景画でもターナーは国内外の景観を描きましたが、コンスタブルは一度も海外に出ず、イングランド東部にある故郷サフォーク州の田園や、訪れたことのある思い出深いところを舞台にしました。家族や友人と過ごしたロンドン近郊ハムステッドや港町ブライトンなど、コンスタブルの愛着の歴史が見て取れます。

ジョン・コンスタブル「虹が立つハムステッド・ヒース」1836年テート美術館蔵

会場に展示された、風景画を描くために空を観察した「空の習作」や、「雲の習作」が目を引きます。空を研究するために、2年で100点近くの「空の習作」を描き、また「雲の習作」はその時の天候や風向き、時間などが克明に裏書されています。

ジョン・コンスタブル「雲の習作」1822年テート美術館蔵

また、当時は珍しかった戸外での油彩画の制作にも取り組み「自然の根源的な本質」をとらえようとしました。

小さい作品が多いのは、一般家庭でも手に入るように手ごろな価格で売れるサイズのものを好んで描いたからだとか。そうした中、幅180センチ超える「ウォータールー橋の開通式」は、一流画家の証であるロイヤル・アカデミー年次展に発表された作品で、大きさもさることながら、色も明るい大作です。その隣にはターナーの「ヘレヴーツリュイスから出航するユトレヒトシティ64号」がかけられています。1832年、初めて隣り合わせで展示されて以来、今回が3回目。ロンドン以外では初めてです。

ターナーは当時、コンスタブルのこの作品を見て、鮮やかな赤いブイを自分の作品に書き加えたという逸話が残されています。

コンスタブルの表現方法は、同時代の人々になかなか理解されず、晩年イングランドの風景と題する版画集の出版に力を注ぎました。この展覧会には、そこに含まれる版画22点がすべて展示されています。モノクロの豊かな階調で表された画面を通して、コンスタブルが何より大切にした「自然のキアロスクーロ(光と影の効果)」の表情が味わえるに違いありません。

 

テート美術館所蔵 コンスタブル展 2021年2月20日~5月30日まで 三菱一号館美術館 https://mimt.jp/constable/

*2021年3月10日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

http://www.geocities.jp/officewe_homepage/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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