Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
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紳士のためのお出かけエンタテインメント

「妹背山女庭訓(いもせやまおんなていきん)」 2025年2月国立劇場文楽 第二部

大化の改新を背景に、蘇我入鹿を倒すために力を尽くす藤原鎌足、淡海親子とその一派の活躍を描いた時代物の通し狂言、第二部です。第一部を見ていればその続きですが、単体でもわかるような構成になっています。2月20日から会場は、文京シビックホールに移っています。

「万歳の段」 提供:国立劇場 撮影: 田口真佐美

猿沢池の段>病で盲目になった天智天皇は、寵愛する采女が入水したという猿沢の池にやってきます。そこに藤原鎌足の嫡男、淡海(たんかい)が追ってきます。淡海は、帝から勅勘を受けて浪人していましたが、父である鎌足は蟄居し、蝦夷子はやりたい放題、帝は病におかされ、いてもたってもいられず帝をお守りしようとかけつけてきました。そこに、入鹿の謀反を知らせる使いが。淡海は、病の帝を気遣って鎮圧されたと偽って帝を安全な場所に誘います。

鹿殺しの段>春日大社の鹿は神の化身とされているため、猟は禁じられています。しかし、藤原家の旧臣で今は猟師になっている芝六と息子・三作(さんさく)は「爪黒(つまぐろ)の牝鹿」を仕留めます。入鹿を滅ぼすのに「爪黒の牝鹿」の血と、嫉妬深い女の血が必要なため、どうしてもやらねばならなかったのです。

掛乞(かけごい)の段>芝六の貧しい家を宮中だと偽り帝をかくまいます。芝六の妻、お雉が帝の食事の支度をしているところに、米屋が売掛金を取りに来ます。大納言は、請求書を見てもなんのことやらわからず、話が通じません。

万歳(まんざい)の段>帝のために、芝六と三作が万歳を披露します。芝六が鹿の血を淡海に渡すと手柄だと褒めてくれます。鎌足は、興福寺裏の山に潜伏し、帝の病の平癒を祈っています。

芝六忠義の段 提供:国立劇場 撮影: 田口真佐美

芝六忠義の段>三作は、芝六の鹿殺しの罪を自らかぶります。鹿殺しの罰は、穴を掘って生き埋めにして石を詰める刑罰。ところが、埋めるために掘った穴から蝦夷子が宮中から盗んだ神鏡と勾玉(まがたま)が見つかったため、助けられることになりました。神鏡の力で、帝の眼は治ります。一方、芝六は忠義を見せるために、自分の子、杉松を殺めました。

第二部は、「自分の子を殺めることで忠義を見せる」とか、「鹿の血で入鹿を倒す」など疑問だらけになりますが、乞うご期待と言うことで。

ただ、ストーリーとは別の話ですが、ホールが反響して太夫さんが語りにくいのではないかと気になりました。私が司会をするときでも、音楽ホールは響きはいいのですが、しゃべりには向かず、聴衆に伝わりずらいと感じるからです。私が未熟者だからかもしれないと、気を取り直して、次は第三部です。

*2025年2月25日現在の情報です *記事・写真の無断転載を禁じます

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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