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紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
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「特別展This is KABUKI 体験!」でなりきる

歌舞伎座タワー5Fにある歌舞伎座ギャラリー&歌舞伎ホールで開催中の「特別展THIS is KABUKI 体験!」(2025年10月1日~11月16日)が、とにかく面白い。

現在、歌舞伎座で公演中の錦秋十月大歌舞伎 通し狂言『義経千本桜』の舞台を、ここで体験できます。歌舞伎を見る前か、見た後か、はたまた見なくても歌舞伎ファンには、ぜひ立ち寄っていただきたいところ。実際に舞台で使う大道具、小道具、衣裳を、触ったり、持ち上げたり、もちろん写真や動画も撮れて、すっかり歌舞伎俳優気分に浸れます。

ギャラリーでは、江戸時代から400年以上続く歌舞伎の世界を紐解きます。入り口で、まずはフォトスポット『義経千本桜』「鳥居前」。京都・伏見稲荷神社の鳥居前の場面です。原作の義太夫狂言では全五段の二段目ですが、歌舞伎の通し狂言としては一幕目として上演されることが多いです。十月歌舞伎座も同様、第一部の一幕目はここからスタートします。

中に入ると、桜吹雪が舞うインスタレーションがあったり、シャンデリアが輝いていた江戸時代の歌舞伎座の様子がわかったり、じっくり読んでいくと感心することばかり。「義経千本桜」が初演された1748年、江戸・中村座で上演されたときの役者絵も初公開です。

義経千本桜』は、『菅原伝授手習鑑』『仮名手本忠臣蔵』に並ぶ歌舞伎三大名作の一つで、源平合戦後の源義経を取り巻く人々の世界が描かれています。登場人物は、源義経、静御前、平知盛、いがみの権太、佐藤忠信(狐忠信)・・。史実と虚構を交えた物語で、初演から270年以上も人気演目として上演され続けています。

歌舞伎座ホールに入ると「渡海屋」や「大物浦」の場面があります。義経が立ち寄った大物浦の廻船問屋「渡海屋」の主人は、実は平知盛でした。義経との死闘の末、平知盛が最後、重い碇(いかり)を身体に巻き付けて海中に沈んでいくところが見せ場。碇を担いでみようと思いましたが、私には重すぎてちょっと無理でした。「渡海屋」の前では、番傘をからげてみました。

      

そして「吉野山」。舞台では、一気に幕が落とされ満開の桜の花が観客の目に飛び込んできますが、ここではホールに入ると突き当りに満開の桜が咲き誇っています。

 

花道の入り口には揚幕(あげまく)が吊られ、俳優が出入りするたびに「チャリン」と音がして客席の注意をひきます。松竹の方が「やってみますか」と声をかけてくださったので、もじもじしながらお願いすると、「はい」と気合のこもった声をかけチャリンと音をさせながら揚幕をさっと引いてくれました。たったったとリズミカルに花道を歩き型をつけたいところですが、様になりません(笑)。花道に桜の枝がささっていますので、それを持って歩き、花四天(はなよてん)になってトンボを切ったり(宙返り)するといいかも。

吉野山」で静御前が手にして踊る緑色の笠や、「川連法眼館」の静御前の供をする忠信(実は狐)のモコモコの衣装も置いてあります。忠信は、10月11日までのAプロでは市川が宙乗りを、Bプロでは尾上右近が演じます。尾上右近が会場に来てくれたので、次回はその話を!

2025年10月1日(水)~11月16日(日)11時半~19時 歌舞伎座タワー5F(歌舞伎座ギャラリー・歌舞伎座ホール)HPはコチラ

手を触れてはいけないものもありますので、お気を付け下さい。

*2025年10月5日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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