Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのお出かけエンタテインメント

「生誕130年記念 北川民次展―メキシコから日本へ」世田谷美術館

メキシコ帰りの独特な画風で知られる、北川民次。

静岡の製茶業を営む家の8人兄弟の末っ子として生まれ、お茶の輸出の仕事を手伝うために20歳の時に兄のいるアメリカに渡りました。そこで働きながら美術を学び、そのあと、革命直後のメキシコで画家、教育者として約15年暮らしました。1936年に帰国してからは、東京を経て愛知に活動拠点を置き、幅広い創作活動や教育、執筆などを手掛けています。約180点の作品と資料で、北川民次の人生を見つめます。

長年メキシコ在住だった北川民次のまなざしは優しく、温かく、可愛らしさが伝わる作品に癒されます。もちろん、社会批判のこもった代表作に加え、油彩、水彩、素描、版画、壁画や、絵本、美術教育に関するものまで広範な活動の全容を見ることができます。

ここでは、心癒される作品をご紹介します。

《踊る人たち》1929年作 郡山市立美術館

メキシコ先住民の祭りの場面です。背景に教会とそこに向かう人々が描かれています。先住民の村を訪ね歩いていた頃の作品で色合いも美しく踊る楽しさが伝わって来るようです。

《豊漁の図》1943年作 東京都現代美術館

第二次世界大戦の戦時下に開催された最後の二科展で発表された作品です。明るい色彩で描かれ、牛や山羊、犬がいきいきとしています。

《ロバ》1928年作 愛媛県美術館

メキシコで生活や労働に欠かせない家族同然のロバを愛情深く描いています。ロバが美しい花を見て目を細めているようです。

《名古屋旧カゴメビル壁画原画 TOMATO》1962年頃 カゴメ株式会社

念願だったモザイク壁画制作を依頼されました。カゴメからはトマトを主題にしてほしいと言われました。メキシコこそがトマトの原産地だと考えていた彼は、メキシコからわざわざトマトの種を取り寄せ育てながら制作しました。2020年にビルの建て替えに伴って取り外され、その一部がINAXライブミュージアム(名古屋)に寄贈されています。建物などに使われる作品は大きくてインパクトがありますが、残念ながら取り壊される運命にあり、残すのはたいへんですね。板谷梅樹のモザイク壁画もあまり現存しておらず本当に残念。

《瀬戸市立図書館陶壁原画 勉学》1970年 瀬戸市美術館蔵

この壁画のある図書館に通えたら、学ぶことが楽しくなりそうです。でも、右端の子のように居眠りしてしまうかも(笑)

今回、楽しく、優しい気持ちになれる作品だけをご紹介しましたが、シュールレアリズム的なモノや、社会派の作品、絵本なども数多く展示されていますので、北川民次の幅広い活動をじっくりとご覧ください。

「生誕130年記念 北川民次展 メキシコから日本へ」世田谷美術館 2024年9月21日(土)~11月17日(日)HPはコチラ

*2024年9月29日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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