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「相国寺(しょうこくじ)展 金閣・銀閣 鳳凰(ほうおう)が見つめた美の歴史」が始まりました。

相国寺の承天閣(しょうてんかく)美術館開館40周年記念「相国寺展 金閣・銀閣 鳳凰が見つめた美の歴史」が、東京藝術大学大学美術館で始まりました。

マスコミ向け内覧会で、相国寺派宗務総長佐分宗順氏は「有馬相国寺派管長は、寺が育んできた文化を皆さんにご覧いただきたいという長年の願いを抱いておられ、このたびそれが実現しました」と語りました。会場には、若冲の障壁画を含む、国宝・重要文化財40件以上が並びます。

相国寺は、室町幕府三代将軍足利義満の発願で創建された臨済宗の大本山です。640年余りの歴史があり、金閣寺(鹿苑寺)、銀閣寺(慈照寺)を擁していることで知られ、境内にある承天閣美術館は所蔵作品を管理するために創建600年を記念して開館されたものです。

相国寺は、長い歴史の間、多くの芸術家を育んできました。室町幕府の御用絵師とされる相国寺の画僧・如拙と周文は水墨画の様式を確立し、彼らを師と仰いだ雪舟は、のちに室町水墨画の巨匠と言われるようになります。江戸時代の相国寺文化に深くかかわった狩野探幽、そして伊藤若冲などから数々の名作が生まれました。

<鳴鶴図 文正筆 14-5世紀 相国寺>

相国寺二世のころから、中国元末明初の人と文化と交流し、六世は中国で9年間、最新の明代禅林を体験し、花鳥画家・文正の傑作「鳴鶴図(めいかくず)」をもたらしました。帰国途中の船の上で鶴が鳴いた時、画中の鶴が声を合わせたという伝説が残るほどの名品です。探幽や若冲が手本にした作品で、凛とした気高さを讃えています。

若冲を支えたことで知られているのが相国寺百十三世、梅荘顕常(ばいそうけんじょう)。京都錦市場の青物問屋の主人だった若冲は、40歳で家督を譲り絵に専念することにしました。間もない44歳の時に、梅荘の推薦で金閣寺(鹿苑寺)の大書院に障壁画50面を描く絵師として抜擢されることになります。

<鹿苑寺大書院障壁画 伊藤若冲筆1759年 鹿苑寺>

今回お目見えするのは、50面の障壁画のうち、一之間に描かれた水墨画「葡萄小禽図」と、裏面の「松鶴図」。普段見慣れた若冲の極彩色の細密画とは違い、墨一色の世界でも技術力の高さがはっきりとうかがえ、余白の美しさに惹きつけられます。

若冲と梅荘の親交がよくわかる作品として、2人が乗合船で京都から淀川を下って大阪に遊んだ体験をもとに制作された版画もあります。ネガのような拓版画の技法は若冲のオリジナルでアバンギャルドな印象を受けます。

そのほかにも相国寺派に伝わる若冲作品の数々が見られます。

<竹虎図 絵:伊藤若冲 賛:梅荘顕常 18世紀 鹿苑寺>

今回、こちらにはありませんが、皆様ご存じの、若冲を代表する「動植綵絵」(皇居三の丸尚蔵館蔵)や「釈迦三尊像」は、相国寺に寄進したものです。

また、他にも等伯の屏風や応挙の図鑑、息を飲むほど美しい国宝の花の模様が浮かび上がる天目茶碗もお見逃しなく。思わず近づいていってしまいます。

<相国寺による特別法要の様子>

「相国寺展 金閣・銀閣 鳳凰が見つめた美の歴史」東京藝術大学大学美術館2025年3月29日(土)~5月25日(日)[前期]3月29日~4月27日 [後期]4月29日~5月25日*会期中一部展示替えがあります。開館時間:10:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)休館日:月曜日、 5月7日(水) *ただし 5月5日(月・祝)は開館 詳細はHPをご覧ください。展覧会公式サイトへ。

*2025年4月4日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます*写真は、主催者の許可を得て撮影しています。

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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