Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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オペラを映画館で楽しむMETライブビューイング チャイコフスキー「エフゲニー・オネーギン」

METライブビューイング6月12日〈金〉~18(木)まで全国の劇場(東劇のみ7月2日まで3週間上映)で上映される、チャイコフスキーの「エブゲニー・オネーギン」。

田舎の地主ラーリン家の娘が青年貴族に恋をしますが冷たくあしらわれ、彼女が公爵の妻になり自信に満ちた大人の女性になったとたん、その彼から恋焦がれられるという物語。

指揮は、ロシア出身のティムール・ザンギエフ、MET初登場です。情感豊かに流麗なチャイコフスキーの音楽を響かせます。

(c)Evan Zimmerman/Metropolitan Opera

冒頭から叙情的な名旋律が流れます。田舎の地主の2人姉妹。長女タチヤ―ナ(アスミック・グリゴリアン)は、物静かで読書好き。妹のオリガ(マリア・パラコーワ)は明るく奔放な性格です。

隣人のオリガの婚約者、詩人のレンスキー(スタス・ドウ・バルベラック)が友人のオネーギン(ユーリ・サモイロフ)を連れてやってきます。すると一目で、少女タチヤーナは恋に落ちてしまいます。純真なタチヤーナは、思いのたけを手紙にし、オネーギンに渡しますが、オネーギンは小娘を相手にせず、冷淡に突き放します。

数カ月後、オネーギンは、レンスキーに連れられてタチヤーナの聖名を祝う会に行くのですが、退屈なパーティに連れてきたレンスキーに仕返しをしようとオリガを次々にダンスに誘います。嫉妬にかられたレンスキーは決闘を申し込み、オネーギンはレンスキーに謝ることもせず、撃ち殺してしまいます。何と非道な、人間なんでしょう。友人を殺してしまうのです・・。

(c)Evan Zimmerman/Metropolitan Opera

数年後、放浪の旅から戻ったオネーギンは、侯爵夫人になったタチヤーナに出会います。タチヤーナは侯爵から愛され、自信に満ち溢れた一人の成熟した女性になっていました。オネーギンはそんな彼女にぞっこんになります。そして恋を告白するのですが・・

(c)Evan Zimmerman/Metropolitan Opera

物語が描かれたのは、1820年代(この演出では19世紀後半です)で、自然あふれる田舎の様子や、サンクトペテルブルクの豪華絢爛な侯爵邸での舞踏会などが見事です。大きな太い柱が、邸宅の立派さを感じさせると同時に、実に空間として美しい。

歌手たちは、登場人物の内面をデリケートに描き、心情が手に取るように伝わります。タチヤーナ役のアスミック・グリコリアンは、少女から侯爵夫人への成長を見事に演じる円熟のソプラノです。見せ場の「手紙の場」の歌唱が素晴らしい。コチラで聴いてみてください。

(c)Evan Zimmerman/Metropolitan Opera

オネーギンは、嫌な役を演じていると語るユーリ・サモイロフ。世界の歌劇場で演じてきた当たり役でMETライブビューイング初登場。まじめな友人、レンスキー演じるスタス・ドウ・バルベラックは初役だということですが、そうはみえません。詩人らしく、オリガへの真摯な愛から嫉妬にかられるところも、うなづける演技力です。そして、タチヤーナへのあふれる愛を隠さない公爵にアレクサンドル・ツィムバリュク。包容力があって、暖かくとても素敵です。新国立劇場でも同役を歌っています。

演出は、ローレンス・オリヴィエ賞に輝く、名匠デボラ・ワーナー

久しぶりにMETライブビューイングを観ましたが、歌手たちの表情や、歌で表現される感情、さらに舞台美術や、衣裳、アクセサリー、照明にいたるまで、すべてが観客をその舞台世界に引き込む素晴らしい芸術です。

今年は、ブロードウエイの演劇が人件費の高騰などから新作本数が減っていると、トニー賞授賞式で言っていました。METも、他人ごとではないはずです。どうぞ、続けられますように。世界最高峰の芸術を居ながらにして見られる機会が永続しますように願ってやみません。何しろ、NYに行かなくても、行けなくても、すべて日本語字幕付きで観られるのですから(笑)。

上映される上映劇場の詳細はコチラHPはコチラ
*2026年6月14日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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