Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのお出かけエンタテインメント

オランジュリー美術館 オルセー美術館コレクションより「ルノワール×セザンヌ–モダンを拓いた2人の巨匠」展

印象派のルノワール、ポスト印象派のセザンヌにフォーカスを当てた世界巡回展がやってきました。

ピエール=オーギュスト・ルノワール《遊ぶクロード・ルノワール》1905年頃 オランジュリー美術館

ミラノ、スイス、香港を経て4か所目になるのが、東京・三菱一号館美術館です。ルノワール、セザンヌ、それぞれの代表作や、肖像画、静物画、風景画など、仲の良かった2人の作品が会場内で対話します。

左 セザンヌ《青い花瓶》オルセー美術館蔵 右 ルノワール《花瓶の花》オランジュリー美術館蔵

職人の家に生まれ、リモージュ(陶磁器)の絵付け職人などいくつもの仕事を経て画家を志したルノワールは、明るく社交的な性格でした。一方で、プロヴァンスの裕福な銀行家の家庭で育ち、法律を学んだ後に画家へ転向したセザンヌは、人づきあいが得意ではなかったようです。そのルノワールとセザンヌは同世代。南仏ヴロヴァンスの光の中で2人は絵を描き、家族ぐるみの付き合いでした。

左 セザンヌ《わらひもを巻いた壺、砂糖壺とりんご》オランジュリー美術館蔵 右 ルノワール《桃》オランジュリー美術館蔵

2人の友情は1860年代にパリで始まり、ルノワールは1880年代にはプロヴァンスにいるセザンヌをたびたび訪ねます。プロヴァンスに滞在することが増えた1898年頃には、セザンヌの親族から家を借り、ともに制作に取り組みました。1902年にルノワールはコートダジュールに移住し、アトリエ兼住居を構えています。40代のころから関節リュウマチなど健康面がすぐれなかったルノワールにとって、陽のあたる南仏は過ごしやすい場所でした。

左 パリのアトリエに座るルノワール オルセー美術館蔵 右 レ・ローヴのアトリエに座るポール・セザンヌ(撮影:エミール・ベルナール) オルセー美術館蔵

展覧会、開幕直前の記者会見で、オランジュリー美術館クレール・ベルナルディ館長は「オランジュリー美術館の核となっているのが、ポール・ギヨームという20世紀初頭の画商でコレクターのコレクションです。本展出品作の大部分が彼に由来するものです。モダンアートの原点である2人から影響を受けた、ピカソなど後続の画家たちへの影響力もご覧いただけます」と語りました。

フランス国家からの注文で描いたルノワールの「ピアノの前の少女たち」は、制作過程で6点の大作が描かれました。こちらは、デッサン風でピュアなフレッシュ感にあふれた初期の習作と考えられています。最終的に納品した作品は、この秋、国立西洋美術館で開催される「オルセー美術館所蔵 印象派ー室内をめぐる物語」にやってきますので、その違いも見ることができます。その展覧会との連動企画もありますので、詳細をHPでご確認ください。

左 ルノワール《2人の少女の肖像》オランジュリー美術館蔵  右 ルノワール《ピアノの前の少女たち》オランジュリー美術館蔵

それ以外にも、楽しめる工夫がいくつも用意されています。

南仏プロヴァンス生まれの「ロクシタン」のフレグランスシリーズの香りで会場が演出されているほか、窓口でチケットを購入した方の中で、ピンクかブルーのファッションの人にはカラーコーデ割(100円割引・ピンクとブルー両方だと200円割引)が適用されます。

フラッシュ撮影、動画の撮影、三脚や自撮り棒を使っての撮影はできませんが、撮影禁止マークのある作品以外は写真撮影が認められているのも楽しいところ。

さらに、カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された、今、注目の早川千絵監督の最新映画「ルノワール」が6月20日に公開されます。映画との相互割引もありますのでチェックしてみてください。

オランジュリー美術館 オルセー美術館 コレクションより「ルノワール×セザンヌ–モダンを拓いた2人の巨匠」展 2025年5月29日(木)~9月7日(日)三菱一号館美術館 HPはコチラ

2025年6月1日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

https://cross-over.sakura.ne.jp/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

おすすめのたしなみ