Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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紳士のためのお出かけエンタテインメント

グレン・クローズは視線一つですべてを語る。映画『天才作家の妻 -40年目の真実-』

作家の夫ジョセフが、ノーベル賞をとる。それをきっかけに、明らかにされようとしている真実があった。平穏だった日常が音もなく崩れ落ちていく。

(c)META FILM LONDON LIMITED 2017

ノーベル賞作家を40年間支え続けた妻にグレン・クローズ。そして天才作家にジョナサン・プライス。いぶし銀のような2人の演技が光るこの作品でグレン・クローズは第76回ゴールデン・グローブ賞主演女優賞(ドラマ部門)に輝きました。すでにアカデミー賞に6度ノミネートされている大女優ですから、その実力は言わずと知れていますが、今回こそいよいよ初オスカーを手に入れるのか、今年のアカデミー賞が楽しみです。

(c)META FILM LONDON LIMITED 2017

 

細やかな心の機微を視線で表し、静かな演技のはしばしに妻の葛藤が見えます。ためこんだ怒り、鬱屈した心、夫婦の愛、絆、そして人生の意味。夫がノーベル賞をとるという妻としての栄誉を手に入れたのでしょうか、それとも・・・。

激しいアクションがあるわけではありませんし、CGが駆使されるわけでもありませんが、これは見逃せません。

才能があるにもかかわらず、女性だからという理由で世に出られず、妻は夫の影となって生きた時代の物語です。また、舞台がノーベル賞授賞式だというのも興味深いところ。普段見ることができない受賞者を招き入れる所から、パーティ会場まで、その舞台裏をかいま見ることができます。私の旺盛な好奇心も、十分満たされます(笑)。

(c)META FILM LONDON LIMITED 2017

グレン・クローズと言えば、あの激しい鬼気迫る演技の『危険な情事』がすぐに思い浮かびます。エレベーターの中での情事は、焼け付くような激しさでした。あれから何十年。彼女の演技の素晴らしさは、激しさを内に秘めた女性でも開花しています。

 

ゴールデン・グローブ賞の授賞式で、グレン・クローズは「私たち女性は自分の満足する人生を見つける必要がある。夢を追いかけるべきです。私達にはできる」とスピーチしていました。あきらめなくていい。陰に隠れなくていい。自分の人生を自分でつかみ取ろうという言葉は、聴く人、観る人たちを力づけました。

ただ私は、この作品の、この妻こそが、本当は一番強かったのかもしれない。そして男性たちは、その彼女をとても怖いと、危険な情事以上に背筋が凍るかもしれないと感じたのでした。

 

最後に、グレン・クローズの実の娘アニー・スタークが、彼女の役の若かりし頃を演じているのも見どころ。かなりの美女です。

 

映画「天才作家の妻 -40年目の真実-」

2019年1月26日(土)新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA他全国ロードショー

HP:http://ten-tsuma.jp/

 

*2019年1月14日現在の情報です。*記事、写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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