Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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ケン・ローチ監督の最新作は「オールド・オーク」!シリア難民を受け入れたイギリス貧困地域での人間的交流にグッとくる

市井の人々の生活や葛藤を描き続けてきたイギリスの巨匠ケン・ローチ監督による最新作「オールド・オーク」。まもなく90歳を迎える監督自ら「最後の作品」と語る「イギリス北東部3部作」の最終章です。舞台となるのは、「かつては」栄えた、とあるイギリスの炭鉱の町で唯一残っているパブ「オールド・オーク」。

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パブ「オールド・オーク」
© Sixteen Oak Limited, Why Not Productions, Goodfellas, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2023

古き良き時代と厳しい現在の両方を共有する地元民が昼間からビールを飲んで語り合ったり喧嘩したりする場所です。店主のTJも、彼らと苦楽を共にしてきた仲間ですが経営状態はギリギリ。そんな殺伐とした空気が漂うこの町が、シリアの戦争から逃れてきた難民を受け入れることになります。果たして大丈夫なのか?

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昼間からパブでつるんでいる地元の仲間たち
© Sixteen Oak Limited, Why Not Productions, Goodfellas, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2023

やっぱり最初は全然大丈夫じゃない。この町にシリア難民が最初に到着した2016年から映画は始まりますが、バスで到着したシリア難民たちに「帰れ」という言葉や、強くなまったイギリス英語でswear word(罵り言葉)が浴びせられます。そして、このバスから降りたったシリア人女性ヤラのカメラは、ガラの悪い地元の男性によって壊されてしまう。
しかしながら、「オールド・オーク」の店主TJがそのカメラを修理に出してあげた事をきっかけに、彼とヤラの友情が徐々に育まれていきます。

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「オールド・オーク」の店主TJとシリア難民のヤラ
© Sixteen Oak Limited, Why Not Productions, Goodfellas, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2023

ヤラが母や兄弟と住む家に招き入れられたTJは、振る舞われたささやかなケーキとお茶をほおばりながら写真などを見せてもらい、彼らの父親が、シリア政府に捉えられていることを知ります。その後、愛犬を亡くして悲しみに沈んだ天涯孤独のTJをいち早く訪ねたのはヤラと彼女の母親。温かい料理を作って運んできたヤラの母親は、「TJが食事を食べ終わるまで帰らない」と伝えることで思いやりを示します。
愛する人の死、孤独、絶望という真の悲しみを知る者同士、貧困や絶望を知る物同士は、深く傷ついた者を癒す方法を知っているのです。

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ヤラの家族
© Sixteen Oak Limited, Why Not Productions, Goodfellas, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2023

ケン・ローチ監督は、「なぜ難民を貧困地域に配置するのか?」という問いを投げかけていますが、実はポジティブな答えが1つこの映画の中に描かれていたと思いました。
それは、地元イギリス人とシリア難民は、国から打ち捨てられた疎外感や絶望、そして愛する人の死など、真の悲しみを知る者同士として深い部分でわかり合えるところがあるということです。人種や文化が違うし、言葉も通じなかったりするけど、苦難と闘争の経験が通底していて、スッと共感することができるのではないかと思いました。このような2者の意外な共鳴ポイントをTJとヤラが象徴していると感じました。

ところが、ヤラとこの炭鉱の町のイギリス人達との心温まる交流が重ねられていく反面、TJがヤラと協力してシリア人や地元の困窮する人々のための無料食堂を開くと、それをよからず思っていたパブの常連達(幼なじみでもある)から裏切られるというショッキングな出来事が起こります。

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TJにとヤラが運営した無料食堂
© Sixteen Oak Limited, Why Not Productions, Goodfellas, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2023

絶望に打ちひしがれたTJに、ヤラに関連するある知らせが届きます。急いで町に戻ったTJが目にしたのは?その光景に、筆者は、気がついたら涙がこぼれていました。 

政府から放置されて貧困に陥ったイギリス人コミュニティーと残酷な戦争から逃亡してきたシリア人コミュニティー。苦難と闘争の中で人間性を失わず試行錯誤しながら地域内の分断を乗り越えつつある彼らの姿は私たちの希望!これから在日外国人達との共存が課題となるであろう日本の私たちにも重要なメッセージを届けてくれる映画です。

【基本情報】
『オールド・オーク』(原題:The Old Oak)
監督:ケン・ローチ
脚本:ポール・ラヴァティ
出演:デイヴ・ターナー、エブラ・マリ、クレア・ロッジャーソン
2023/イギリス、フランス、ベルギー/英語・アラビア語/113分/カラー/G
日本公開:2026年4月24日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館他全国ロードショー
配給:ファインフィルムズ
後援:ブリティッシュ・カウンシル
公式サイト:https://oldoak-movie.com/

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TheOldOak
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菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
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菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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