Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
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シネマ歌舞伎「ヤマトタケル」の魅力

15歳になった市川團子が、2019年10月20日シネマ歌舞伎「スーパー歌舞伎 ヤマトタケル」上映記念トークショーに登壇しました。7年前の初舞台がこの作品でした。おじいさまの猿翁に稽古をつけてもらい、「おとうさま~」の言い方を「もっと遠くにいるご先祖様に言うように言ってごらん」と言われ、それが身についたと語ります。2012年の新橋演舞場での公演が、今、銀座の東劇で上映中です。

三代猿之助四十八撰の内 「スーパー歌舞伎 ヤマトタケル」は、哲学者である梅原猛が三代目市川猿之助のために書きおろした神話ヤマトタケルの半生をドラマに書き上げた作品です。初演は昭和61年。ワイヤーをつけて宙づりされたり、けれんみたっぷりの演出で、スーパー歌舞伎という新しいジャンルを築き上げました。

今回のシネマ歌舞伎は、四代目市川猿之助と、香川照之の九代目市川中車襲名披露の舞台であるのみならず、今回トークショーに登場した中車の息子、五代目市川團子の初舞台でもありました。

舞台は前半から、兄の大碓命と弟の小碓命を市川猿之助の一人二役の早替わりで魅せます。

熊襲の国での大立ち回りも見どころの一つ。

また、蝦夷の国では火に囲まれて草薙の剣で草を刈るシーンや、火が勢いを増していく様は、リズミカルにテンポよく進み何度も観たくなります。伊吹山の神々と戦う場面はおどろおどろしく、たくさんの化け物が登場します。最後の羽をつけて宙を舞う場面は壮大で涙があふれます。

この作品、言葉も現代語で、わかりやすく、派手なアクションで娯楽色満載。しかも最後には歌舞伎では通常行われないカーテンコールがあり、スタンディングオベーションで会場中が歓喜の渦で満たされた様子が垣間見られます。

物語は・・・

大和の国の皇子、小碓命(おうすのみこと)は双子の兄である大碓命(おおうすのみこと)が父親である帝(すめらみこと)の命を狙っていることを知り、争っているうちに誤って殺してしまう。兄殺しは、しばり首になるところだが、老大臣の願いで命は助かり、西の果てに行って熊襲兄弟をたった一人で征伐するようにと試練が与えられる。熊襲兄弟を討ち果たすと、熊襲からヤマトタケルという名前を力と共に得る。ヤマトタケルは、父の許しを得たいのだが、怒りはまだおさまらない。褒美に最も美しい姫と、最も広い蝦夷の国をくれるというのだが、実は蝦夷の国を征伐せよとのお達し。蝦夷の国を手中に治めると今度は、伊吹山の神々を退治するように言われる。ようやく故郷、ヤマトに帰ろうとするのだが、傷つき疲労し、歩くこともままならない。羽が欲しい、家族のもとに帰りたいと想いを募らせるのであった。

父親から認められたい、「よくやった」と言ってほしくて戦い続けるヤマトタケル。父親の愛がほしいヤマトタケルの気持ちを思うと涙なしでは見られません。

絢爛豪華な衣装や、大スペクタクルが繰り広げるさまを、歌舞伎ならではの様式美で楽しめる作品です。

2019年10月18日(金)~10月24日(木)東劇のみ10月31日(木)まで

 

*記事と写真の無断転載を禁じます。*写真はすべて松竹©。 *2019年10月26日現在の情報です。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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