Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
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紳士のためのお出かけエンタテインメント

プッチーニ没後100年 METライブビューイング「トスカ」

2025年1月24日(金)~30日(木)(東劇のみ2月6日(木)まで)、メトロポリタンオペラを映画館で楽しむMETライブビューイングは「トスカ」が上映されます。私が今まで見た中で最高の「トスカ」です。

(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera

トスカにリーゼ・ダヴィドセン。強い声で情感豊かに歌い上げ、情熱的なトスカ役にピッタリです。「百万人に一人の歌声」と言われるゆえんがよくわかります。

トスカの恋人カヴァラドッシにフィレディ・デ・トマーゾ。英国ロイヤル・オペラで、史上最年少でこの役を歌いました。これがMETデビューです。

悪役、警視総監のスカルピアをクイン・ケルシー。ハワイ出身のバリトンで演技力も抜群です。悪役がピッタリ(笑)。1幕の幕切れ、戦勝祝いの「テ・デウム」は大合唱とオーケストラが一体となり重層的で音も舞台も絢爛豪華です。1997年にハワイでこの場面で合唱を歌っていた彼が、こうして中心で歌うようになるなんて、想像もしていなかったのではないでしょうか。この演奏では、METのために特別に製作された1960年製のパイプオルガンや、チャイム、そしてバスドラムが鳴り響き、映像で見ても空気が振動するような気がします。ニューヨークのMETに行って、生の音に包まれてみたい。

(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera.jpg

物語は、アンドレア・デッラ・ヴァッレ教会の場面から始まります。画家のカヴァラドッシを訪ねて、恋人である歌姫トスカがやってきます。カヴァラドッシは、政治犯としてとらわれ脱獄した友人の逃走を手助けするのですが、警視総監スカルピアに目をつけられます。トスカは、ファルネーゼ宮殿の中のスカルピアの執務室を訪れます。スカルピアは、カヴァラドッシから政治犯の隠れ場所を聞き出すために拷問にかけます。彼の命乞いをするトスカに肉体を求めるのでした。そして最後は、聖アンジェロ城の屋上の場面です。この3か所はローマで現存する観光名所ですので、ローマに行ったらぜひ足を運んでみたい所。

拷問の場面のトスカの悲痛な歌声は胸に迫ります。愛する人を痛めつけられて、秘密を話さずにはいられないトスカ。そして、スカルピアがトスカを力でねじ伏せようとする歌は、彼の歌唱力でロマンティックにすら感じられます。こんなに人間として奥行きのあるスカルピアは見たことがありません。そして有名なトスカの歌う「歌に生き、恋に生き」。切々たる思いを綴るトスカの歌に涙しない人がいるでしょうか。

(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera.jpg

演出はデイヴィッド・マクヴィカー。音楽もドラマも力強く色濃く、観客の心に残る舞台です。

幕間に、プッチーニ没後100年を記念したプッチーニとMETの歴史をつづった貴重な特別映像も見られますのでお楽しみに。

*2025年1月22日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

 

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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