Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
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ミロ展 東京都美術館 ~7月6日(日)まで

20世紀スペインを代表する画家、ジュアン・ミロ初期から晩年までの大回顧展東京都美術館で開催されています。カタルーニャ州バルセロナ出身のミロは、厳しい父親から会計士になるように言われ職につきましたが、どうしても好きだった画家の夢をあきらめきれず、両親を説得して1911年に画家になることを目指しました。パリでの初個展は1921年。その時出品した「自画像」は、ピカソの手に渡り生涯ピカソが大切にしていたそうです。ひと回りほど年齢差のあるピカソは、生家が近所だったこともありミロを精神的に支えていました。

その後パリにアトリエをもうけ、スペインと行き来する中で、シュルレアリズムの作家や詩人たちと交流し影響を受けます。1928年の傑作《オランダの室内》は、初めてのオランダ旅行で見た17世紀オランダ絵画《リュートを弾く人》に触発されたものです。

《オランダの室内1》1928年 ニューヨーク近代美術館

1936年にスペイン内戦が、39年には第二次世界大戦が勃発し、戦禍を逃れながら作品を描き続けました。その時に生まれたのが、代表作である「星座」シリーズです。紙に描かれたシリーズ23点のうち今回、3点が来日しています。空を見上げ、自由と平和をどれほど切望したか。50センチほどの小さなサイズの絵から、静寂と哀しみと希望が感じられます。

《カタツムリの燐光(りんこう)の跡に導かれた夜の人物たち》1940年 フィラデルフィア美術館蔵

42年にバルセロナに戻りましたが、独裁政権下で活動が制限されていました。ただすでに、41年にニューヨーク近代美術館で初の大規模回顧展が開かれ世界的に名声が広がっていました。日本には、大規模個展のために1966年に来ています。日本文化に興味があり《太陽の前の人物》は、江戸時代の画僧・仙厓の「〇△□」になぞらえて、太陽と人を描いています。

《太陽の前の人物》1968年 ジュアン・ミロ財団

生涯、自分の表現を模索し、版画、陶芸、彫刻なども含めて探求し続けました。80代に絵画の本質を問い、90歳で亡くなるまで新しい表現に挑戦しています。私が一番感銘を受けたのがこの作品《焼かれたカンヴァス2》。

《焼かれたカンヴァス2》1973年 ジョアン・ミロ財団

また、忘れてならないのは、ポスターを通じて、社会や政治、文化への意思表示をしたことです。フランコ政権下、弾圧されたサッカークラブ、FCバルセロナのポスターを手掛けています。1936年、FCバルセロナのジョセップ・スニョル会長は、フランコによって銃殺されました。

「バルサ FCバルセロナ75周年」1974年 ジュアン・ミロ財団

ジュアン・ミロが描いた星、太陽、月、鳥、人物からは詩があふれていました。

 

「ミロ展」東京都美術館 2025年3月1日~7月6日 詳細はコチラ

*写真はすべて、マスコミ向け内覧会の日に許可を得て撮影しています*2025年3月2日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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