Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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ワインペアリングの凄腕に酔った青山のフレンチ・ランタンポレル🍷日本各地の素材を活かす若手シェフも凄腕!「ゴ・エ・ミヨ」掲載店のバースデー ディナー記

2025年のバースデーディナーは、青山のフレンチ・ランタンポレル(l’intemporel)に伺いました。永遠不変という店名の意味にも惹かれて。ワインのペアリング (コース料理の人から 1皿に合わせて、それぞれワインを ソムリエが選んでくれる)にも定評があると聞きました。ここ数年バイブルにしているグルメガイド「ゴ・エ・ミヨ」掲載店です。ドアを開けるとふわっと暖かく、優しいお店なのだなと直感。10席というアットホームな空間も良い感じ。柔らかいソファーの高さも心地よくて嬉しい。

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まずはAYALAのシャンパンで乾杯。オーナーソムリエの古賀崇さんが「泡が綺麗でしょう」と言いながらなめらかに注いでくれました。160年以上の歴史を持つ、シャンパーニュ地方でも最も古いメゾンのシャルドネ。鋭すぎない辛口シャンパンがすーっとリラックスさせてくれます。

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間髪入れずに運ばれてきたのは、「ウズラの温泉卵とゴボウのブルーテ」と「青森・栗こカボチャのムース」。ルーシー・リーの作品を思わせる薄手のすり鉢状の器が軽やか。ゴボウの苦味が良いアクセント。温泉卵は、ウズラでもニワトリでもやっぱり温泉卵だなぁ(笑)。かぼちゃのムースの濃厚な甘みはほっこり。シャンパーニュがキリッと引き締めてくれます。

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そうこうしているうちに次の白ワインが!フランスアルザス地方で1580年から14世代にわたって受け継がれている伝統のワイナリー「レオン・ベイエ」のリースリングです。

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「リースリング特有のペトロール香、いわゆる石油の香がしっかり出ているワインです」と古賀さん。鼻を近づけた途端に強い石油香が!こんなに強い石油パンチを受けた白ワインは初めて(笑)。お料理とはどんな相性なのかしら?ペアとなるお料理は、「北海道・いずみ農園の人参のヴァリアシオン」。なんとツヤビカリするオレンジがイロっぽいにんじんが主役のお料理でした。

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「薄く切ったにんじんを何層にも重ねていて1枚1枚ベーコンの油をまとわせています」と古賀さん。ここにベーコンの姿はないところが奥ゆかしい。ざっくり縦に切って口に入れると、おー、にんじんの甘みと肉汁の油がとろりと混じり合い、引き立て合っている。そこに先程の白ワインを一口。一瞬鼻にガツンと石油油香が入ると同時に、味は気高くにんじんのお料理をエスコートする感じ。ひねりが効いていて面白いな。

次に登場したのは、 ブルゴーニュのクロード・デュガ。かのジュヴレ・シャンベルタンでも著名なドメーヌです。

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「ブルゴーニュのトップスターですね」と古賀さん。現在は子供たちが継いでいるとのこと。赤ワインで有名ですが、あえて白ワインが出てきたので興味深いところ。香りはいかに?「わー、濃密なバニラ香!」。お相手となるお料理は、北海道・鱈の白子とスープ・ド・ポワソン。

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クリーミーでウマミ高い鱈の白子とバニラの香りが混じり合い、上品なシャルドネの酸味が絶妙な甘みを引き出してくれました。すばらし〜♪そしてスープがこれまた濃厚。「甲殻類の出汁だよね」と旦那さんと確かめ合っていると、古賀さんが「オマールエビです」と教えてくれました。冬の鍋に入っている白子をポン酢と日本酒でいただくのも好きだけど、オマールエビのスープに浸った白子ブルゴーニュワインでいただくのも乙♪「白子は海外でもお料理に使われるのですか」と聞くと「あまり使われないと思います」と古賀さん。という事はこのペアリングは日本ならではのマリアージュですね!
後でワインについて調べると、「ブルゴーニュ ブラン」は、ジュヴレ・シャンベルタンに位置するレ・プレッソニエのACブルゴーニュ区画の畑に10年前に植えたシャルドネの葡萄から作ったもので、小売価格1万円前後。 生産本数は2000本と希少。このような自分では選べない貴重な ワインをいただけるのもペアリングの魅力です。

3種類目の白ワインはロワール地方のプイィ・フュメ。ソーヴィニヨン・ブランの一大生産地ですね。また、ロワール側沿いに点在する美しい古城たちでも有名。20年以上前に家族で古城を巡ったのが懐かしい。

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「これから出てくるサワラとの相性が抜群でエレガントかつフレッシュですよ」と古賀さん。「火打石の香りってやつだね」とダンナさん。そうだね〜。プイィ・フュメの「フュメ」とは、煙や燻製を意味するフランス語だからスモーキーな香りがするとサントリー時代に教えてもらったなぁ。一口飲んでみると、上品な爽やかさと深いコクのある甘さが同居している。確かにエレガント!「京都・鰆のポワレと春菊」との相性はいかに?

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ぷるぷるで艶やかなサワラとともにワインも一口。「ゴージャス!」。脂の乗ったサワラの旨みがより一層高められて、ワインのさわやかさはそのままに洗練が極まる♪ 今日のペアリングのマイベストでした!

ラストのワインは今日唯一の赤ワイン。ブルゴーニュのシャサーニュ・モンラッシェ。

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「宮城・森林鶏の胸肉の藁焼き」とのペアリングです。メインの鶏胸肉は、この世に生まれたばかりの赤ちゃんの肌のようになめらかな質感。さっぱりとして品のある旨みが口の中に広がります。

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そこにサーニュ・モンラッシェを一口。ベリーの深い甘みがお肉に寄り添い、赤ワインのぶどうを育てた大地の香りがどっしりと支える感じ。ステキな相性です。欲を言えば、赤身のお肉やジビエとも合わせてみたかったなぁ。でも重厚になりすぎないこのサバサバ感が魅力なのかも!
おかげで続くデザート、「クレーム・ダンジュ」と「ガトー・オペラ」もペロリ。

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バースデープレートは、佐竹洋幸シェフが自ら持ってきてくれました。背が高くて笑顔がステキな若手シェフ。スイーツは、抹茶のフィナンシェ。ほっかほかで香ばしい!それにしてもプレートに描かれた椿の絵がなんと流麗なことでしょう。「シェフが書いてくださったのですか?」と聞くと「そうです」とのこと。センスの良さに惚れ惚れしました。 バースデープレートを頼んでくれたダンナさんありがとう!

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ファンタスティックなバースデーディナーをありがとう!

【記事内に書ききれなかったプチ情報】
〈たくさん飲んでも悪酔いしない工夫(笑)〉
少なくともワインと同じ量の水を並行して飲むこと。私は冷たい水で体を冷やすのが苦手なので、いつも白湯を頼みます。ランタンポレルの古賀さんは、ちょうどいい温度のお湯を作って、絶妙なタイミングで注ぎ足してくれたのでとても良かったです。おかげでヘルシーにたくさんワインを飲めて、次の朝もスッキリ♪感謝です!

〈ペアリングとは〉
ワインと相性の良い料理の組み合わせ ソムリエが用意した料理と相性の良いワインを料理毎に持ってきてもらえるので、コース料理と並行したワインのコースといった感じ。最近は世界的にもノンアルコールのトレンドがあるので、ノンアルコールドリンクを用意してあるお店も増えています。ランタンポレルにもノンアルコールペアリングがあり、おそらく30代と思われるカップルのお客さんはノンアルコールにしていた模様。ソムリエさんもノンアルコールの知識やスキルを磨く時代になったのですね。

〈ミシュラン〉
後でわかったのですが、ランタンポレルは21年から3年連続ミシュラン★1獲得していました。パチパチパチ。

【本日のメニュー】ワインペアリングと合わせて1人約2万円
◆ウズラの温泉卵とゴボウのブルーテ Quail Onsen Egg and Burdock Velouté
◆青森・栗こカボチャのムース Chestnut Pumpkin Mousse from Aomori
◆北海道・いずみ農園の人参のヴァリアシオン Variations of Carrots from Izumi Farm in Hokkaido
◆北海道・鱈の白子とスープ・ド・ポワソン Hokkaido Cod Milt with Fish Soup
◆京都・鰆のポワレと春菊 Pan-Seared Spanish Mackerel from Kyoto with Chrysanthemum Greens
◆宮城・森林鶏の胸肉の藁焼き Grilled Breast of Miyagi Forest Chicken with Straw
◆クレーム・ダンジュ Crème d’Anjou
◆ガトー・オペラ Opera Cake
◆ハーブティー (ヴェルベーヌ) Herbal Tea ( Verbena)

【レストラン 基本情報】
名前 l’intemporel ランタンポレル
住所 東京都港区南青山4-9-3 VIVREAOYAMA 1F
電話番号 03-5413-5750

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菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
パトロンプロジェクトFacebook: https://www.facebook.com/patronproject/
菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

インスタグラム:https://www.instagram.com/cocomademois/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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