Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

一軒家の極上フレンチ「ラルブル」は東京・あきる野市にあり!シェフが育てた野菜や八丈島の魚介など「オール東京産」のお料理に舌鼓

5月の連休半ばのある晴れた日、都心から1時間ほど電車に乗って、あきる野市へ美食の旅に出ました。緑色の山の風景が眩しいJR五日市線「武蔵五日市駅」から10分ほど歩くと、こんもりとした林の奥へ誘うような小道が現れました。「もしかしてここが?」。そう、今日、目指してきた フレンチレストラン「L’Arbre(ラルブル)」の入り口でした。

樹木に囲まれたレストラン

フランス語で樹木を意味する「L’Arbre(ラルブル)」。お店の名前そのものが感じられる。聞けば、レストランの建物となっている一軒家も、江戸時代後期に山林業で財を成した小机家が住んでいた和洋折衷様式の住宅。林業で栄えた地域ならではのネーミングだったのです。

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木々の間から姿を表したのは、親しみやすい雰囲気の2階建ての館です。明治8年頃に建てられた都指定有形文化財。ここを舞台に、これからいろいろなお料理のドラマが展開すると思うと、とても楽しみ。入り口前には、赤ちゃんを連れた若い夫婦が1組オープンを待っていました。ほのぼのしているなぁ。

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「Gault&Millau (ゴ・エ・ミヨ)」 2026 テロワール賞

中に招き入れられると、窓からの明るい光が心地良い一枚板のカウンターキッチンに通されました。お料理のコースは決まっているので、まずはお酒を選びたいところ。ダンナさんとメニューを見ると、「おっ、アルコールペアリングのハーフというのがある!」。「ハーフペアリングの量は全部でグラスワイン2杯分位ですよ。最初の2皿にシャンパン、次のお魚料理に日本酒、次の東京野菜に白ワイン、その次のお魚に白ワイン、最後のお肉料理に赤ワインという感じです」と爽やかに説明してくれた男性こそが、オーナーシェフの松尾直幹さん。「あっ、先日お顔を拝見した方」。そう、松尾さんは、レストランガイド「Gault & Millau(ゴ・エ・ミヨ) 2026」でテロワール賞を受賞して、今年3月の授賞式で表彰されたのです。私はその受賞式で松尾さんと「ラルブル」のことを知って今回訪ねてみたわけです。
※『ゴ・エ・ミヨ 2026』の「テロワール賞」は、土地の風土や食材、育まれてきた文化を尊重しつつ、食材または料理を通じて独自の挑戦を試みている料理人や生産者に贈られる賞です

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テキパキと料理をしながらも饒舌にお話ししてくれる松尾シェフ。小声のつぶやきも聞き逃さずレスポンスしてくれる耳の良さに感動!

「わー、授賞式にいらっしゃったのですね。会場はものすごくたくさんの人々で賑わっていましたよね」「Gault & Millau の授賞式は年々盛大になっていると思います。受賞本当におめでとうございます」など、お話がどんどん弾んでいきました。松尾さんはとても耳が良く、いろいろな音がするキッチンでてきぱきと料理をしながら、小さなつぶやきもキャッチして応えてくれるのでびっくり!プロはコミュニケーション能力にもたけている!
そこへさっと出された最初のペアリングが、シャンパーニュ・シャルパンティエの「テール・デモーション ブリュット・ヴェリテ」。焼きリンゴのような奥行きとミネラル感が心地良い爽やかなシャンパン。

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シェフの畑

そして最初の1皿は、2つの島の上にお花や苔が乗ったイメージの軽やかなフィンガーフード「多摩 島」。

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真っ赤なお刺身は八丈島で採れたハチビキ(赤鯖)。70センチメートル4キロもある大きなハチビキだったことや、八丈島にはシマ寿司という名物があることなどをシェフが話してくれました。ハチビキの卵をたらこ状にしたタラモサラダには、紫色の可憐な花が乗っていましたが、それはシェフが畑で育てた大根の花とのこと!そう、シェフは、毎日畑仕事をして自ら野菜を育てているのです。もちろん無農薬。貴重だなー。30メートル× 30メートルの広さの畑で、多種多様な野菜を育てているそうです。正真正銘の東京産。さすがテロワール賞受賞シェフです。

2年かけて作った魚醤(イシル)

涼しげなガラスのお皿で供された次のお料理は、「八丈島産アオリイカ 立川ウド」。ダンナさんがウドが好きだということで話が盛り上がりました。

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「このお皿のウドは珍しく白いんです。あえて日が当たらないようにして育てたホワイトアスパラガスみたいなものですね。後ほど白くないウドも出てきますので食べ比べてみてください」とシェフ。白ウドは、それほどクセがなくシャキッとしていました。そして私はなめらかで上品なアオリイカの味にうっとり。2年がかりでゆっくり発酵させて作った「イシル」という醤油で味付けしてあるとのこと。技術だけではなく、時間を味方につけたシェフの調味料が効いている!

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初鰹に感涙

そして3皿目、すごいものが出てきました。「初鰹 蓬 蕨」です。カツオ独特の臭みゼロ、うまみ成分MAX、とろけるテクスチャーと3拍子揃って、今までのカツオの概念が覆えされました!

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カツオのたたきらしさも感じさせながら、おいしい成分だけを際立たせたような純度の高さに感服。目の前で炙ってくれていたのですが、炙るための煙も無農薬の東京産の稲藁を燃やすという徹底振り。このお料理へのペアリングは、地元あきる野市の名酒「喜正(きしょう) おり酒」。言うまでもなく相性抜群。カツオのたたきにはやはり日本酒がいいですね。
さて、お次は?

当たり年のたけのこ

「江戸東京野菜 孟宗竹」。
たけのこのお料理です。「今年初めてのたけのこ♪」とウキウキして箸をつけると、「今年はたけのこが当たり年なんですよ!おいしい年とそうでもない年が1年ごと交互に来るのです」と教えてくれました。

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確かにとても柔らかくて香り高いたけのこのステーキ!確かに去年のたけのことは違う(本当にわかっているのか?笑)。甘夏のソースとクレソンが添えられてとてもおしゃれでおいしい逸品でした。ペアリングは、ドイツ・ファルツ地方の自然派ワイン「DURST. SYLVANER」。洋梨やハーブのような味わいが、孟宗竹を引き立ててくれました。

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美しい金目鯛

そうこうしているうちに、見せていただいたのは、次のお料理に出てくる金目鯛の焼く前の状態。生まれたてのように無垢で鮮やかな赤色と月夜に照らされたような銀色の輝きが美しい。

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その金目鯛は、松笠焼きとして登場しました。パリパリクリスピーに立ち上がった鱗と、半生の脂の乗った身の絶妙なコンビネーションがたまらない。ペアリングは、フランス/アルザス地方の「ドメーヌ・バルメス・ブシェール ピノ・ブラン サンド 2022年」。フラワリーな華やかな香りと、塩味の効いた引き締まった白ワインが金目鯛と周辺の野菜たちにぴったりと寄り添ってくれました。ちなみに、周辺の野菜の中に、先ほど話題に出た「白くないウド」がありました。こちらはウド独特の苦味とパンチがあり、季節感満載。

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東京X

そしてついにラストのお肉料理!「澤井農場 東京X Clos de LArbre 春野菜」です。ピンク色の艶やかな肉に目が釘付け。

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ペアリングは、王道のブルゴーニュワイン、 ジュヴレ・シャンベルタン「ピエール・ブレ・フィス ジュヴレ・シャンベルタン クロ・ド・ラ・ジャスティス 2008」です。

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ダンナさんは、この豚肉料理をいたく気に入って、「今日のベスト」とのこと。とんかつ屋さんでたまに見かけるので「東京X」は知っていたけど、こんなにおいしいのは初めてだそう。味がくっきりしていて濃厚で、脂身もペロリと食べられてしまうほどおいしい。だからタンニンが強いジュヴレ・シャンベルタンとの相乗効果もバッチリなのね。そして、付け合わせの野菜はみんなシェフの畑から来ていてうれしい。くるみの葉の天ぷらが香ばしくて美味。

世界4位のヤギチーズ

良い気分になったところで、ちょっとこのジュヴレ・シャンベルタンにチーズを合わせてみたいなとシェフに伝えたところ、地元の「堀さんのチーズ」を出してくれました。なんとチーズコンペで世界14位、ヤギチーズ部門では4位に入賞したという優れもの。

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シェフが、少し温めたバージョン(手前)と、フレッシュなバージョンの2種類を用意してくれました。どちらもきめ細かい舌触りが印象的。温めた方はふわっと獣の香りがしました。私はフレッシュの方が味も香りも優しく感じて好みだったかな。

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デザートはお部屋を変えて

デザートタイムは、テーブル席がある畳の個室でガラリと雰囲気チェンジ。明治期のブルジョワたちが過ごした洋風のアフタヌーンティータイムとシンクロしているような気分。

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アシェットデゼールは、小笠原産のパッションフルーツをあしらったスイーツ。え?小笠原でパッションフルーツが採れるの?ギャルソンに聞くと、シェフのお友達が栽培しているそうです。すごいなぁ。
パッションフルーツのジュレは、酸味が強くてパワフル!メロウな感じになっていたのですが、パッチリ目が覚めました(笑)。

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東京狭山茶といただくフィナンシェでほっと一息。

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3時間ほどかけていただくゆったりランチってホントいいなぁ。和と洋を行き来し、江戸、明治から現代を行き来した楽しい時間。シェフの松尾さん、ラルブルのみなさん、ダンナさん、ありがとう!

近隣の山や川も散策

ランチの後は近くの天竺山に登り、秋川渓谷で水辺を散策。駅に行く途中で寄った野菜販売所で、なんとラルブルでいただいた「堀さんのチーズ」を発見。1200円で販売している!これは迷わず購入。良いお土産ができました。今度ホームパーティーがあるからその時出そう。
飛行機や新幹線に乗らなくても、めくるめく旅ができるのが美食トリップの良いところ。おすすめです!

#LArbre #ラルブル #松尾直幹 #ガストロノミー #テロワール賞 #あきる野市 #ゴエミヨ

菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
パトロンプロジェクトFacebook: https://www.facebook.com/patronproject/
菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

インスタグラム:https://www.instagram.com/cocomademois/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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