Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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紳士のためのおでかけエンターテイメント

世界の坂本龍一さん、登壇!

11月3日に閉幕した、第30回東京国際映画祭。

その中で特に印象に残ったのは、坂本龍一さんのセミナーです。

リアルな坂本さんに会うのは今回が初めてですが、謙虚でお茶目なお人柄で、「気難しそうな世界の坂本」という私が持っていた今までのイメージが覆りました。

(c)TIFF 2017

 

東京国際映画祭では、「TIFFマスタークラス」という若い映画ファンや次世代を担う新たな若手映画作家に向けたセミナーを開催しています。

そこで今年、SAMURAI(サムライ)賞を受賞した坂本さんのセミナー「映像と音の関係」が開かれました。モデレーターは、早稲田大学文学学術院教授、音楽・文芸批評家の小沼純一さん。小沼さんの的確で造詣の深い質問から、坂本さんの言葉が流麗に流れだし、お人柄や仕事が鮮明に見えてきます。

(c)TIFF 2017

 

坂本さんはご存じのとおり、1952年東京生まれ。「YMO」を経て、映画『戦場のメリークリスマス』で英国アカデミー賞作曲賞、『ラストエンペラー』でアカデミーオリジナル音楽作曲賞、グラミー賞他を受賞され、世界中から尊敬される音楽家の一人です。映画祭では特別招待作品としてドキュメンタリー『Ryuichi Sakamoto:CODA』の上映もありました。

 

初めて映画音楽に携わったのは、大島渚監督の『戦場のメリークリスマス』。映画と音楽の関係について、小沼さんの「どのようにして話が始まるのか」という質問からスタートです。「普通は、監督から依頼が来るのだが、自分は『出演してほしい』というオファーがあり出演するなら音楽もつけさせてくれと生意気なことを言った」と、ユーモアたっぷりに答えます。

また、クリスマスのイメージは鐘の音だが、この作品は南洋の島が舞台なので寺院の鐘の音を想起させるように「そこは理づめで」考えた。つどつど、映像がはさまれ、音楽を聴きながら話は進みます。曲を生み出すのに「試行錯誤を繰り返しているうちに、突然意識を失って、目が覚めたら譜面が書いてあった」とまるで天から曲が降りてきたような話もありました。

さらに、「繰り返しが多用されている」と小沼さんが言うと「シーンに対して切り張り的で、同期させてしまっているところが未熟だ」と振り返り「たくさん直したいところがある」と語ります。

(c)TIFF 2017

 

坂本さんが病後初めて携わった作品、『レヴェナント 蘇りし者』や『ラストエンペラー』の時のエピソードや苦労話もあり、『リトル・ブッダ』では、クライマックスシーンを監督からの要請で5回も書き直しをしたのだそうです。

最後のシーンは、オペラのアリアのような曲で般若心経をもとにつくった。ベルトリッチ監督から「世界中の人が大泣きする曲」を書くように言われ、最初は「もっと悲しくするように」言われ、3曲目で「悲しすぎて希望がない」と却下。4曲目も気に入らず、5曲目でようやく採用されたという話には、会場中が爆笑です。ちなみに、4曲目は、他のシーンで使われているそうですので、ちょっとほっとしました。

 

さらにおもしろかったのは、ベネチア映画祭で審査員をした時に、自分が選んだ作品は、自分の職業を否定するようだが結果的に、音楽が入っていないのを選んでいたのだそうです。「良い映画には、映像に力があって音楽が必要ない」ともともと映画が好きだったこともあり、「音楽というのは音楽のみで存在している場合と、映画の中に組み込まれている場合は役割は違う」と述べます。

 

おごるところなく、謙虚に、ユーモアを交えてお話しされる様子にとても好感が持てました。また、SAMURAI賞という、時代を切り開く革新的な作品を世界に発信し続けてきた映画人に贈られる賞の授賞式では、通訳や司会の方にまで気を配り、舞台を去るときに握手をされていました。

舞台に上がった方で、そこまで気を配る方にお目にかかるのはこれで2人目。ちなみに、お一人目はメリル・ストリープ。その時も感激しましたが、今回もその優しさに「さすが、一流の人は違う」と感心しきりです。

また、どこかでぜひお目にかかりたいと、願っています。

 

*2017年11月13日現在情報です。*写真・記事の転載を禁じます。

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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