Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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中村キース・へリング美術館「キース・へリング:NYダウンタウン・ルネサンス」「(2023年6月3日~2024年5月6日)

キース・へリングの美術館というのは、世界中でここにしかありません。2007年八ヶ岳の麓の小淵沢に「中村キース・へリング美術館」は誕生しました。作品約300点と記録写真や映像、生前に製作されたグッズなど約500点以上の資料を収蔵しています。

キース・へリングは、アンディ・ウォーホルバスキア同様、1980年代のアメリカを代表するポップ・アーティストです。「サヴウェイ・ドローイング」と言われる地下鉄構内でのドローイングが評判となり、数多くの展覧会が開催され世界中で高く評価されました。社会問題に関心が高く、チャリティで子どもたちと壁画を制作したり、ワークショップを開催するなど、社会的なプロジェクトも手掛け、メッセージ性の強い作品もたくさんあります。1988年にエイズを発症し、1990年に31歳で亡くなるまで、HIVエイズ予防啓発運動にも、最後まで積極的にかかわりました。

6月3日(土)から開催されるコレクション展、「キース・へリング:NYダウンタウン・ルネサンス」には、NYで保管され34年間公開されてこなかった壁画「マウント・サイナイ病院のための壁画」が公開されています。

この壁画は、1986年にマウント・サイナイ病院で、がんを患う小児病棟の子供たちのために制作されたものです。幅5メートルという大きさで、優しく、温かく、おもしろくて、楽しい作品です。キース・へリングの心が伝わってくるようで、そこに子供たちの希望が見えます。描いている最中、子供たちが集まってきてへリングの様子を見ていたのだとか。

今回の展覧会では、キース・へリングの作品を写真や資料と共に紐解きます。彼が生きた時代のニューヨークの空気を感じ、作品が生み出された原動力を味わうことができるでしょう。

企画展「ハウス・オブ・フィールド」のほうは、NYを拠点に活躍するスタイリストでデザイナーのパトリシア・フィールドのアートコレクションの紹介です。映画『プラダを着た悪魔』テレビドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』、Netflix『エミリー、パリへ行く』(シーズン1,2)の衣裳デザイナー、スタイリストとして知られています。1966年に彼女がブティックをオープンすると、そこに彼女を中心としたコミュニティが生まれました。有名無名にかかわらず多くのアーティストたちを支えてきたフィールドのコレクション約190点は、ブテックが閉店した2016年に中村キース・へリング美術館に収蔵され、このたびその一部が展示されています。

 

中村和男館長は、京都大学薬学部のご出身で、三共株式会社で23年間新薬の研究開発に携わりました。そのころアメリカで出会ったのが製薬会社の医薬品開発を支援する業態です。退社した中村さんは、1992年に日本にはなかった医薬品開発受託機関シミック株式会社を創業。ヘルスケアの様々な領域で事業を拡大し、2002年に会社を上場させました。その彼の生き方に大きな影響を与えたのが、キース・へリングの絵でした。「シンプルなのに、訴えかけてくる何かがある。へリングは、自分の人生を表現と社会貢献のために使った。人間のすごさを知りました」。

「人は、いつか死ぬ。だから生ききる」。中村さんが自分の仕事へのご褒美として買い集めたキース・へリングの作品が、見る人たちに自分と対峙するきっかけを与えてくれます。中村さんの生き方、めちゃくちゃかっこいい!

*2023年6月3日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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