Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
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紳士のためのお出かけエンタテインメント

久しぶりのMETライブビューイングに、オペラの力を感じる「Fire Shut Up in My Bones」

劇場史上最長の約1年半という閉鎖期間を経て、この作品で去年10月に再開したニューヨークのメトロポリタンオペラ(MET)。満を持して上演したのは、MET初の黒人作曲家の新作オペラ「Fire Shut Up in My Bones」です。

(c)Ken Howard/Metropolitan Opera

ジャズ界の巨匠で映画音楽の大家テレンス・ブランチャードが手掛けたオペラは「力強い再生」がテーマです。原作は、新聞コラムニストのC・Mブローの自伝で、アメリカ南部の保守的な地で生まれ育った彼は従兄による性暴力の記憶から逃れられず苦しむというストーリーです。時代の空気にマッチし、ニューヨークの観客は万雷の拍手を送り、大好評のうちに幕を閉じました。

違う時代の同じ人物が共に歌ったり、「孤独」や「運命」といった感情が別人格として登場したり、ジャズやゴスペルとクラシックの境目がなく、物語は進行します。

子供のころの主人公チャールズは、「キスして愛して、もっと僕を見て、抱きしめて」と母親からの愛情を求め続けますが、5人の子供を持つ母親は、食べさせることで精一杯。遊び人の亭主を横目に、懸命に働き続け、繊細な息子の気持ちに気づきません。そして、事件が起きます。

テーマは重く、つらいものですが、チャールズは「必要ないものは捨て置き、新しい人生を歩む」と決めて大きく一歩、前に進みます。

原作者の彼はコラムニストとして大成功をおさめていて、テレンス・ブランチャードは、「それは、立ち直る力と乗り越える力の証です。だから作品にしたいと思ったし、主人公の決断が、似た境遇の人たちの力になれば」と語っています。

(c)Ken Howard/Metropolitan Opera

心沸き立つのは、ステップダンスのシーン。チャールズが黒人社交クラブに入る場面ですが、血沸き肉踊り、わくわくします。ジェイムズ・ロビンスの共同演出で振付家のカミール・A・ブラウンの才能がいかんなく発揮されています。気持ちをダンスで表現することにたけたブラウンの振り付けたダンスはなんとも力強く、刺激的で、舞台が躍動感であふれます。

カーテンコールで一番拍手が多かったのは、チャールズの子供時代を演じたウォルター・ラッセル3世。幕間のインタビューの受け答えを見ても、すでにスターの域です。

才能や努力に惜しみない拍手を送り、応援し、生で舞台を味わう幸せが伝わってくる上映でした。

METライブビューイング「Fire Shut Up in My Bones」 HP:https://www.shochiku.co.jp/met/program/3760/

2月3日(木)まで

 

*2022年2月1日現在の情報です。*写真・記事の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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