Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
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紳士のためのお出かけエンタテインメント

令和6年 国立劇場初春歌舞伎公演 「芦屋道満大内鑑-葛の葉―(あしやどうまんおおうちかがみ くずのは)」と勢獅子門出初台(きおいじしかどでのはつだい)

令和6年 国立劇場初春歌舞伎公演2本目は、陰陽師・安倍晴明の伝説にまつわる狐の母子の別れを描く「芦屋道満大内鑑-葛の葉―(あしやどうまんおおうちかがみ くずのは)」

陰陽師・安倍晴明の出生の物語が絡められています。安倍晴明は天文学者でしたが、不思議なことを次々と行ったため、人間の子ではないと思われていたとか。見どころは、葛の葉と葛の葉姫との二役の早変わり。さらに、狐の神通力を現した仕掛けや、障子に和歌を書きつけるときの「曲書き」など、歌舞伎らしい趣向が満載です。夫である保名(やすな)を時蔵が、その息子梅枝(ばいし)が初役で葛の葉を演じます。

天文博士、加茂保憲(かものやすのり)が残した秘書「金烏玉兎集(きんうぎょくうしゅう)」の伝授をめぐって共に弟子であった芦屋道満(あしやみちたる)と安倍保名(あべのやすな)が対立し、許嫁「榊の前」が自害に追い込まれてしまいます。悲しみのあまり正気を失った保名が信田(しのだ)の森をさまよっていると、「榊の前」の妹「葛の葉姫」に出会います。その後2人は結婚し6年の月日がたち、子供(安倍晴明)をもうけているといったところから、始まります。この「金烏玉兎集(きんうぎょくうしゅう)」は、今も購入できる実際にある本です。

家で機を織る葛の葉(梅枝)。そこに、保名を探し当ててやってきた信田庄司夫婦と娘の葛の葉姫(梅枝)がやってきます。庄司が家の中に声をかけると、葛の葉姫にそっくりな女性がいるではありませんか。どうしたことかと思っていると、そこに保名(時蔵)が帰ってきます。庄司から葛の葉姫を連れてきたと言われ困惑する保名。さて、何が起きたのかと真相を知るため保名は寝たふりをして様子をうかがうことにしました。

身支度をすると言って奥の間に入る葛の葉ですが、実は信田の森で保名が助けた白狐だったのです。恩返しのために葛の葉の姿を借りて夫婦になったのでした。しかし正体を知られてしまっては、もうこの家にはいられません。可愛い我が子を置いて、離れなければならないと決意します。狐の毛の色の黄金色の着物が実に美しい。二役の梅枝が少しずつ狐に戻り、親子の情を見せるところも胸に迫ります。徐々に狐に戻っていく葛の葉。言葉を残して去ろうと、障子に和歌を書きつけます。文字を下から書いたり、左右逆に書いたり、ここも見どころです。陰で葛の葉の真実を聞いていた保名は、何とか引き留めようとしますが、振り切って信田の森へと帰っていってしまいました。

梅枝は、狐の化身である女房と、まだうぶな姫との二役を見事に演じ分けています。早変わりも楽しめる歌舞伎ならではの趣向です。

 

最後が、江戸の祭礼風俗を写した「勢獅子門出初台(きおいじしかどでのはつだい)

菊五郎一座総出で、鳶頭、芸者、手古舞姿の娘、獅子などとなって登場し、華やかに舞います。江戸時代から、正月は曽我兄弟の仇討ち物語というのが恒例で、今回も鳶が踊ります。

鳶頭を演じた菊五郎を久しぶりで拝見し、また孫にあたる10歳前後の子供たちも立派に舞台を勤め、脈々とつながる伝統を祈るような気持で見せていただく初春となりました。

上演は1月27日まで。初台の新国立劇場中ホールです。詳細はHPからご覧ください

*写真提供:国立劇場 撮影:二階堂健 *2024年1月12日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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