紳士が知るべきチェスのダンディズム
小説にみるチェス
皆様、残暑お見舞い申し上げます。
まだまだ暑さの真っ只中ですが、暦の上では立秋を迎えましたね。
8/8 (∞/∞)-8/12はパワフルな日ともいわれています。
今回はチェスにまつわる小説について。
家にいる時間が多くなっているこの時期は少し趣向の変わった本を手にとってみてはいかがでしょうか。
大人が楽しむおすすめの小説を4冊と経済書をご紹介いたします。
①チェスの話 ツヴァイク短篇選 みすず書房
シュテファン・ツヴァイクの短編の1つ「チェスの話」はナチスの圧政下でホテルに隔離されたオーストリアの紳士の話です。外界と完全に遮断された部屋で彼が求めたものは?孤独とはどのようなものか、Stay home の時だからこその小説かもしれません。映画[グランド・ブダペスト・ホテル]はツヴァイクのこの作品にインスパイアされ製作されました。
②モーフィー時計の午前零時 ジーンウルフ他著 若島正編 国書刊行会
チェスが様々な形で登場する「モーフィー時計の午前零時」。全12作品で最後はチェスプロブレム(チェスの問題)が登場します。
ダンディな登場人物が生き生きと描かれチェスをもっと知りたくなるような選りすぐりの雰囲気のある小説ばかりです。
③猫を抱いて象と泳ぐ 小川洋子著 文春文庫
繊細で美しい描写をされる小川洋子氏ですが「猫を抱いて象と泳ぐ」も緻密で異空間にいるような感覚をおぼえます。主人公の少年とチェスとの出会い、マスターとの出会い。
チェスを通して少年の静かな時間の流れと人生が哀しくもあります。
④チェスをする女 ベルティーナ・ヘンリセス著 中井珠子訳 筑摩書房
エーゲ海の閉鎖的な島で家族と平凡な暮らしを営んでいた主人公エレナはふとしたことからチェスを始めます。彼女の変化に清々しさを感じます。
エーゲ海の描写も美しく、私は一人の時間にこの小説を読むのがとても好きです。
The End of Power 権力の終焉 モイセス・ナイム著 加藤万里子訳 日経BP社
2013年フィナンシャルタイムズ リーダーシップ・マネジメント部門でベストブックに選出されています。冒頭からチェス界の権力構造の変化を例えに出しているところも大変興味深いです。現在もチェス世界チャンピオンであるマグナス・カールセンが従来のチャンピオンとどう違うのか。
政治、経済、社会、宗教全てにおいてパターンが変化しハードからソフトへ。大規模で集権的な組織が従来のようには機能しなくなる背景が書かれています。時々読み返すと思考がクリアになります。

横谷 慈
一般社団法人チェスコンシェルジュ協会代表理事
株式会社 Chess for Japan 代表取締役
イギリス帰国子女 チェスを通じて友人を作る
聖心女子大学卒業
大学卒業後通訳を経て医学部精神医学教室で2年の研修後、都内の病院にて心理士として勤務。帰国子女のカウンセリングを主に行う。配偶者の海外転勤に伴いイギリス、オーストリア、ハンガリーに住む。在外公館にて要人との接客に携わりチェスのある文化に親しむ。ティーインストラクターとして10年間大使館や企業でティーセミナーを開催。2018年(株)チェスフォージャパンを設立。同年5月に自由が丘・12月に広尾クィーンズチェススクールを開校。2020年9月那須クィーンズチェススクール開校。女性限定のプライベートチェスレッスン、チェスコンシェルジュ®養成、小学生対象のチェス・ラボを行う。2020年10月男性プライベートレッスン2020年11月キッズチェスコンシェルジュ™オンライン講座、Chess Therapy ™ 講座
3児の母
Instagram https://www.instagram.com/chess_and_tea/