Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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復活した高級広東料理『銀座楼蘭』 秋の新ディナーコースは鮑、フカヒレ、北京ダック・・

1971年に品川駅前の「ホテルパシフィック東京」(現在は閉館)に誕生した老舗中国料理店は、1982年には「銀座コアビル」に出店。正統派の広東料理が食べられるお店として『銀座楼蘭』は評判の銘店でした。ところが2021年、コロナの影響で閉店を余儀なくされました。

「素材を活かした上品な味のお料理は素晴らしく、忘れられずどうしても残したい」という思いを抱えた常連客の一人、江連昌愛さんはオーナーとなり2023年に復活を果たしました。

江連さんは言います「銀座楼蘭に私たち親子は三世代に渡って通っていたんです。私の家は、祖父が始めた自動車整備工場を父が継いで業態を変えながら継承していました。この店を好きだった父は18年前に亡くなり、母と姉と自分が事業を継いで来年が創業110年になります。専業主婦だった私が経営者になり、自社の歴史を学び、会社がどれだけの苦労を乗り越えてきたかを知りました。企業は続けることが大切です。50年続いた楼蘭を続けたい。そこで当時働いていた従業員とシェフはそのまま、1年半の準備期間を経て2023年、同じ味、同じサービスで開店しました。さらにはゆっくりできるサロンのようなお店にしたいという私の夢もかなえました」。

銀座中央通りに面したビル「GINZA gCUBE」10階という立地は(入口は信楽通り)、昔ながらの落ち着いた大人の街・銀座を感じさせます。

エレベーターを降りると、京都の職人が絹の白生地に金銀箔をのせた特注の作品がお出迎え。お母さまが書かれた店名の書が飾られ、エントランスのシャンデリアの向こうにはカウンター席があります。イタリア製のタイルが張られた静かな空間一人でふらりと来店し、気軽に召し上がることもできます。大きな窓から外を眺められるホールは最大40名まで。貸切可能で、クラス会や着席パーティー、クライアントミーティング、ミニコンサートなど様々な使い方をされています。エレベーターから直接入れる個室もあるほか、4人から最大12人までの部屋が全部で4つあります。

お料理は一人ずつの盛り付けです。油の使用を極力控えているため消化が良く、フルコースを食べた後もすぐにお腹がすっきり。これは私も実感しました。

2025年10月1日(水)から、新たなディナーコース「凜~りん~」(2万3000円税込サービス料別)がスタートしました。

まずは、どのコースでも最初に出される「命のスープ」。中華コンソメスープで、この店の品格を表す豊潤な味わいです。西洋料理店でコンソメスープを頂くとそのお店の味がわかるのと同様、中華のスープもこれほどまでに旨味があるのかと驚きました。豚肉、丸鶏、金華ハムといった食材を3時間ほど雑味が出ないように煮込んで作った琥珀色の絶品スープを一口。

   

鮑入り前菜盛り合わせ」は、とろけそうに柔らかい鮑の塩水漬け、蒸し鶏の葱生姜だれ、ピーカンナッツの甘炊きの上にチャーシュー、キュウリと茗荷の甘酢漬け、海老の丸ゆで、ズワイガニ肉ともずくのゼリー寄せ、マッシュルーム豆腐、くらげの冷製。

    

ふかひれの姿煮」は、気仙沼産のフカヒレに黄ニラを添え「命のスープ」のあんがかかっています。ふかひれのあまりの大きさに、しばらく私の「ふかひれ愛」は満足できるかも(笑)。

北京ダック」薄い包餅に鴨の皮とネギがくるまれ、自家製の甜面醤がたっぷり入っています。えびせん添え。

    

帆立と大海老、特大椎茸のXO醬蒸し」国産(この日は徳島産)椎茸を器にして、北海道産の帆立と海老を、金華ハム、干し貝柱、エシャロットで香り豊かな自家製XO醬で味付けし蒸しあげたもの。帆立貝の中心はレアになるように仕上げられています。

五種彩野菜の炒め」旬の野菜の旨味が際立ちます。特にベビーコーンがサクサクと新鮮でした。

    

国産和牛の蒸しパンサンド オニオンソース」はボリュームたっぷり。パンは店内で天然酵母から作っています。自家製の蒸しパンに、岩手県産の和牛の分厚いステーキをはさみます。玉ねぎに醤油とニンニクとライムをあわせたソースをしみこませてあります。

絶品の「薬味入りつゆそば」。もうここまでくると、私の小さいお腹はパンパン。それでも食べたい一品です。スープの旨味が深く、麺のからみも絶妙で、最後の最後まで残さず頂きたい。

杏仁豆腐」自家製の杏仁豆腐は寒天で作っています。スプーンのようなものですくって切っているのでしょうか。角がなく喉ごしが優しく、私が今まで食べた杏仁豆腐の中で一番おいしいかった。その上に本日は、薄くスライスしたメロンが花のように飾られています。

    

コースとは別に新メニューとして「カウアイシュリンプのチリソース煮」(1300円税込・サービス料別)ハワイ・カウアイ島で養殖されている希少な海老「カウアイシュリンプ」を高温で揚げ、海老味噌入りの濃厚なチリソースで。

そしてオリジナルの「抹茶紹興酒ハイボール」(1000円税込・サービス料別)は、紹興酒に宇治抹茶を合わせて炭酸で割り、蜜漬けのドライオレンジが添えられて。アルコール度数はあまり高くありません。

大事なお客様の接待はもとより、銀座を歩いていてお腹がすいたら、ふらりと寄って食べさせてもらいたい。そんなお店です。

「悩みを抱えた時や悲しい時など、一人で食べたい時にも、きちんと意をくんだ対応ができるスタッフばかりです」と江連社長は続けます。「お一人でいらしていただいても、お仲間同志でも、そして何度ご来店頂いてもお客様の心に寄り添えるお料理とサービスを提供し、いまから三世代につながるレストランを目指してまいります」と語りました。

 

中国料理『銀座桜蘭』東京都中央区銀座7-9-15 GINZA gCUBE10階HPはコチラ

*2025年9月29日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

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