Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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新制作ロシア・オペラ「エウゲニー・オネーギン」で、今シーズンの幕開けです

「オネーギンってこんなに嫌な男だったっけ」と思いなおした、今回の新制作オペラ「エウゲニー・オネーギン」。親友が嫉妬しているのを知りながら親友の彼女は奪い取るわ、自分に恋い焦がれる少女を翻弄するわ、男性だったら共鳴するところがあるのかしら・・・。

新国立劇場、大野和士芸術監督のもと、今シーズン2019-2020のオープニングはロシア・オペラでもっとも上演頻度の高い「エウゲニー・オネーギン」です。

ロシア・オペラを充実される第1弾として精鋭たちが集まりました。ドミトリー・ベルトマンは、モスクワのへリコン・オペラ歌劇場の創設者・芸術監督で、斬新な演出で定評のある敏腕演出家として知られています。そしてロシアきってのオネーギン歌手ワシリー・ラデューク、ザルツブルク音楽祭で成功を収めたエフゲニア・ムラーヴェワ。注目の若手、私のいち押しパーヴェル・コルガーティン、指揮はポーランド国立歌劇場音楽監督を経て欧州で活躍しているアンドリー・ユルケヴィッチ。情熱的で切れがよい上、ロマンティックで流れるような音楽を紡ぎだします。

冒頭から、チャイコフスキーの華麗な旋律に心をつかまれ、舞台美術は、絵画のような美しさ。さぁ、スタートです。

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物語は、紅葉に彩られた田舎屋敷。地主の娘で地味なタチヤーナと、快活なオリガ姉妹。オリガは近所に住む幼馴染のレンスキーと婚約している。レンスキーが友人のオネーギンを連れて訪ねるとタチヤーナはまたたくまにオネーギンに恋してしまう。サンクトぺテルグルク生まれの貴族オネーギンは、ダンディで女性にもてるが、ニヒルで厭世的。タチヤーナに愛を告白されても田舎娘に見向きもしない。

舞踏会の場面はまるでルネッサンスの絵画のよう。全体がルノアールカラーだ。その舞踏会でオネーギンはオリガと踊り続けたため、レンスキーは我慢がならない。

オリガに夢中なレンスキーとオネーギンは雪原で決闘することになる。レンスキーが自分の短かった人生を回顧する<レンスキーのアリア>が切々と胸に迫る。気が進まない決闘で、オネーギンはレンスキーを殺してしまう。

 

海外を放浪して数年後サンクトペテルブルクに戻ってくるオネーギン。シャンデリアの輝く豪華な邸宅での舞踏会で、グレーミン公爵夫人になったタチヤーナと再会する。グレーミン公爵は自分の幸せを朗々と歌い、タチヤーナのおかげで幸せな毎日がおくれていると語る。オネーギンは、格調高く気品のある女性に成長したタチヤーナにいっぺんで魅せられるが、拒絶されてしまうのだった。

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相変わらず、新国立劇場合唱団の歌声は素晴らしく天にも上る心地です。レンスキー役のパーヴェル・コルガーティンの溌溂としたハリのある声、嫉妬に燃える気持ちを情熱的にしかも寂しげな所が抜群です。

また、グレーミン公爵役のアレクセイ・ティホミーロフも出色です。

原作はアレクサンドル・プーシキンの書いた韻を踏んだ韻文小説で、貴族社会、田舎の地主の生活、農民たちの風習などが細かく描写されロシア生活の百科事典とも呼ばれているのだとか。初演は、1879年、モスクワ・マールイ劇場で、チャイコフスキーは「オペラ」とは呼ばず、普通の人たちの普通の感情を表現したことからこの作品を「抒情的情景」と呼びました。

この演目、新国立劇場では19年ぶりの上演で、今回新制作でしかもベルトマンの演出ということから、かなり注目されています。ベルトマンは、ロシア現代演劇の祖でありモスクワ芸術座の創設者コンスタンチン・スタニスラフスキーの1922年の演出をモチーフに「今日的で感情的な新しい作品として」演出したと語っていました。ベルトマンにとっては、この作品の9回目の演出で、作品の哲学や登場人物の心理を中心に演出しなおしたそうです。

美しいロシア・オペラの舞台に酔いしれましょう。

 

新国立劇場オペラ「エウゲニー・オネーギン」2019年10月1日、3日、6日、9日、12日

写真はすべて、撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場 *記事、写真の無断転載を禁じます。

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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