Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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紳士のためのお出かけエンタテインメント

新国立劇場オペラ ジュゼッペ・ヴェルディ『リゴレット』新制作(2023年5月18日~6月3日)

久しぶりに気合のはいった舞台を見ました。『リゴレット』新制作です。同じ演目なのに、プロダクションと歌手でこれほど変わるのかと、びっくりしました。

撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

リゴレットは宮廷道化師の名前です。宮廷道化師というのは、中世ヨーロッパで、王家や貴族に仕え、主君を喜ばせたり笑わせたりするのを役割としていました。肉体的な障害を持っていることが多く、さらに風変わりな衣裳や帽子をかぶっています。そのリゴレットが、純真で清らかな愛する娘ジルダを、主君であるマントヴァ公爵にもてあそばれ、復讐しようと決意するのですが、その結果、とんでもないことになってしまうのです。

マントヴァ公爵役のイヴァン・アヨン・リヴァスの第一声から、強烈に引き込まれます。素晴らしいテノール。この役でフィレツェ、ローマ、トリノなどを回り、世界を席巻中のペルーの大型若手歌手です。パヴァロッティを彷彿とさせました。

最初の一振りから情熱的に力強く、そして軽やかな音を奏でさせるのは、イタリアの名匠マウリツィオ・ベニーニマエストロ。歌手たちを引き立て、引き出し、自在にオーケストラの音を響かせます。さすが、イタリア・オペラで名声を築いてきただけのことはあります。

そして、なんといっても舞台美術が、壮大で現代的で洗練されていて美しい。演出は、スペインの巨匠エミリオ・サージ。サージは「退廃的な空気感を伝える道具」として衝撃を与える雰囲気を出したのだそうです。物語にぴたりとはまります。

撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

道化師リゴレット役に世界のバリトン、ロベルト・フロンターリ。新国立劇場には、98年『セビリアの理髪師』のフィガロ、02年『ルチア』のエンリーコ、15年『トスカ』のスカルピアに出演しています。

ジルダ役にソプラノのハスミック・トロシャン。若く美貌の彼女は、超絶技巧のコロラトゥーラで聴衆を魅了します。新国立劇場には19年の『ドン・パスクワーレ』のノリ―ナ役を演じています。アリア「慕わしき人の名は」で、花の浮き出る床の上でたっぷりと歌い上げます。

撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

このオペラは、名アリアも多く、「女心の歌」は、誰もが聴いたことがあるでしょう。「風の中の羽根のように いつも変わる女心~♪」「慕わしき人の名は」「悪魔め、鬼め」といった曲が聴こえてくるとワクワクします。さらに第3幕の四重唱「美しい恋の乙女よ」は、オペラ史上最も美しい四重唱と言われています。こちらも必聴。

 

あと2回公演があります。見逃さないで!

 

*2023年5月28日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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