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新国立劇場オペラ「セビリアの理髪師」が開幕しました

この集中力はすごい。世界に名だたるロッシーニ歌手たちが集まる舞台は本当に素晴らしかった。何より楽しくて、笑いが絶えなくて、歌手たちものりのりで、観客も大喜びでした。

「ほんとに楽しかった、また来たい」「あの早口言葉みたいなの凄いね」といった声が、あちこちから聞こえてきました。公演は、このあと5月28日(水)14時、30日(金)18時半、6月1日(日)14時、3日(火)14時と続きます。

ロッシーニの「セビリアの理髪師」は、明るく軽やかなオペラ・ブッファ(喜歌劇)です。

アルマヴィーヴァ伯爵(ローレンス・ブラウンリー)は街で見かけた美女ロジーナ(脇園彩)を追いかけて家の前までやってきます。バルコニーに向かって歌う伯爵ブラウンリーの輝かしいテノールが響きますが、反応がありません。アジリタ(小さい音符の連なりを敏捷に歌う)は切れ味よく、正確でつややかです。

撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

そこに登場する理髪師フィガロ(ロベルト・デ・カンディア)は、小さい子供たちを手下に引き連れ、元気よく早口ではじけるように自慢話を歌います。散髪はもちろん、困りごと相談など何でもござれ。カンディアが十八番としているこの役を、ここ新国立劇場で歌うのは23年ぶりのことだとか。

撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

医師で後見人のバルトロ(ジュリオ・マストロトータロ)は財産目当てでロジーナと結婚しようともくろみ、音楽教師ドン・バジリオ(妻屋秀和)の協力を得て結婚誓約書を作成しようとしています。一方でアルマヴィーヴァ伯爵は理髪師のフィガロに恋の手助けを依頼します。伯爵は、貧しい学生リンド―ロだと偽り、酔っぱらいの兵士に変装したり音楽教師の弟子のふりをしたり、混乱の極み。登場人物が多く、物語がわかりづらいけど、最後はハッピーエンド。次々に、アリアや重唱など名曲が登場します。

撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

コミカルな会話と、超絶技巧を駆使した曲は、どれも明るく観客を楽しませます。余裕を持って聴けるのは、歌手陣の力量があるからこそ。世界のロジーナ歌いとして活躍する脇園彩にとっては2020年ぶりの新国立劇場での同役で、成長ぶりも楽しめるでしょう。

このプロダクションの初演は2005/2006シーズンで、演出はヨーゼフ・E.ケップリンガー。指揮はベルカント・オペラの名手コッラード・ロヴァ―リス。細部にわたって、ロッシーニの魂が息づいています。

新国立劇場オペラ「セビリアの理髪師」HPはコチラ

*2025年5月27日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます

 

 

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
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だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

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