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紳士のたしなみ

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紳士のためのお出かけエンタテインメント

映画『2度目のはなればなれ』10月11日全国ロードショー

世界中で繰り返される争い。なぜ、争わなくてはならないのか。なぜ、殺し合わなくてはいけないのか。なぜ死ななければならないのか。それは避けられないのか。何のためなのか。それぞれに言い分があり、それぞれの大義があって、守るべきものがあり、自分たちが正しいと信じておこなう争いで命を失う。それを重々承知の上で、あえて「殺してはいけない」と言いたい。きれいごとかもしれない。しかし神様がせっかく与えてくれた命を、人間が奪っていいのか。けっしていいわけはない。

2度目のはなればなれ』。この映画には愛と、哀しみと、老いと、人間が併せ持つたくさんの感情が詰まっている。

©2023 Pathe Movies

89歳の退役軍人が、ノルマンディ上陸作戦70年記念式典に参加するため、誰にも言わずにイギリスの老人ホームをこっそり抜け出してフェリーに乗ってフランスに行った実話をもとに描かれている。

バーナードとレネは、仲睦まじい夫婦。バーナードがホームからいなくなっても、レネは騒ぎ立てたりしなかったのだが、施設が捜索願いを出す。すると警察が#The Great Escapeと捜査網を広げたため世界中が知ることとなった。バーナードはどこにいるのか。無事にフランスに行けたのか。帰ってこられるのか。

©2023 Pathe Movies

登場人物たちがみんな温かい。バーナードもその妻レネも、そしてフェリーでバーナードと知り合った元空軍兵士も、街の人々も、かつて敵だったドイツ人も、みんながそれぞれ一生懸命生きている。戦争で戦った人たちは、誰もが苦しみと哀しみを抱え続けている。

夫婦にとってはなればなれになるのは、今回が2回目だと語るレネ。1回目は戦争の時でレネは「いってらっしゃいと送り出したけど、いかないでと言いたかった」といまになって思う。バーナードはノルマンディ上陸作戦で戦った兵士だ。1944年6月6日。約16万人の連合軍の兵士たちが、フランス北西部のノルマンディに、ドイツ占領下のパリを解放するため上陸した。映画『プライベート・ライアン』での激戦が記憶に残っている方も多いだろう。その当時の記憶が、重なる。

©2023 Pathe Movies

次にどこかに行く時は、私も一緒に行く」と宣言するレネ。そう。2人は愛し合っているのだ。夫婦を演じるのは、互いに2度のオスカー受賞しているマイケル・ケインとグレンダ・ジャクソン。残念ながら、グレンダは公開前に人生の幕を閉じた。

©2023 Pathe Movies

バーナード役のマイケル・ケインは、この作品で引退することを表明している。70年に渡って、180本以上の映画に出演してきた名優である。その姿が見られなくなるのは、本当に寂しい。心にしみる作品だ。

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*2024年10月4日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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