Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
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紳士のためのお出かけエンタテインメント

東京フィル午後のコンサート「二人は魔術師」2025年9月21日(日)

毎回、曲の合間に会場からの質問を募って指揮者やソリストが回答する、楽しい東京フィルの午後のコンサート。今回は、指揮者アンドレア・バッティストーニが登場です。彼はとてもご機嫌で饒舌でした。今年、赤ちゃんが生まれ、お嬢さんは今、5カ月。幸せが伝わってくるような、マエストロの雰囲気です。

提供:東京フィルハーモニー交響楽団

最初は、リストの「ハンガリー狂詩曲第2番」。誰もが知っているこの曲は、情熱的で迫力満点。マエストロの手にかかれば、そこに拍車がかかります。聴いてよかった、1曲です。

次は、生誕150周年を迎えるラヴェルの「ツィガーヌ」ヴァイオリンソロに村田夏帆。最初にしばらく独奏が続きそのあと、オケと一緒になります。小柄な体にどれほど情熱が詰まっているのかを思わせる演奏でした。

提供:東京フィルハーモニー交響楽団

村田夏帆は2007年生まれの18歳の高校生。2018年にイタリアの「イル・ピッコロ・ヴィオリーノ・マジコ国際コンクール」に最年少で出場し、1位となり、聴衆賞も受賞するなど、その後も数々の賞を受賞しています。オペラシティの舞台に立つのも初めてだそうで、「緊張しています」とうつむき加減で小さい声で話していました。

なぜヴァイオリンを弾くようになったかを問われると、ヴァイオリニストの神尾真由子が優勝したチャイコフスキー国際コンクールの様子を見て、「あんなドレスを着て、あんなふうに演奏したい」と憧れたのがきっかけだったそう。会場は温かい笑顔で一杯になりました。

バッティストーニマエストロとは、2023年の「未来の巨匠コンサート」の時に出会い、今回が2度目の共演ということでした。

マエストロは、2025年1月からベルギーの「ワロン王立歌劇場」コンポーザー・イン・レジデンス、イタリアの歴史的な歌劇場である「トリノ王立歌劇場」音楽監督、2026年1月から、シドニーにある世界遺産の「オペラハウス・オーストラリア」の音楽監督に就任されます。マエストロから「オーストラリアは近いですから、是非皆さんいらしてください」とお誘いの言葉がありました。一度は行ってみたいオペラハウスです。

提供:東京フィルハーモニー交響楽団

続いて、バッテストーニ作曲の「コリバス~管弦楽のための幻想的舞踏曲」ラヴェルの「道化師の朝の歌」。そして最後がラヴェルの「ボレロ」です。

バレエ曲「ボレロ」は、ラヴェルの作品の中でもっとも有名な曲。小太鼓がほとんど聴こえないような音量でリズムを刻むところから始まりどんどん楽器が加わり、最後に全員が参加する歓喜の瞬間を迎えます。ラヴェル自身は「音楽でも作曲でもなく、リズムとオーケストラ」で貫く「実験的な」ものと手紙に書いています。きわめて呪術的で神に捧げているようだと私は感じるのですが、緻密で完璧を求める彼自身にとっては、音と楽器の組み合わせで新しい響きの感覚を生み、非現実の世界に連れていく職人技の表現だったのかもしれません。

*2025年9月26日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます
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岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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