Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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紳士のためのお出かけエンタテインメント

東京国際映画祭で賞を受賞した「i新聞記者ドキュメント」 

第32回東京国際映画祭の「日本映画スプラッシュ部門で作品賞を受賞した「i新聞記者ドキュメント」。東京新聞社会部の望月記者を追ったドキュメンタリーである。

大きな荷物を持って、その重さに振り回されるように登場する望月記者。沖縄に飛んで辺野古基地移設の現場を取材する。新基地移設のために投入する土砂は「赤土などの細かい土砂の割合を概ね10%前後にする」と沖縄防衛局は県と約束して埋め立てを始めた。赤土は、水に溶けるとヘドロ状になり、生息するジュゴンやサンゴなどに影響を及ぼすことが心配されているからだ。今、大量の赤土の混じった土砂が使われているという疑いが生じている。望月記者は、船の上から埋め立ての様子を見る。赤い。菅官房長官に質問する「赤土は今、何パーセントですか」。それに対して返ってきたのは「法的に基づいて行っております。防衛局にお問い合わせください」という言葉である。

準強姦事件で知られる伊藤詩織さんも登場する。2017年、元TBSワシントン支局長から性的暴行を受けたと訴えたが、逮捕直前に逮捕状の執行が取りやめになったと記者会見で告発した。執行停止を決裁した中村格刑事部長は菅官房長官の秘書官を務めていた人物。

 

森友学園の籠池夫妻は、普段マスコミで見せる姿と違った表情を見せる。

2016年、学校法人「森友学園」に大阪府豊中市の国有地が格安で払い下げられた。その理由がはっきりせず、籠池元理事長夫妻が安部昭恵夫人との交流を強調していた。その後、財務省理財局が国会に提出した国有地払い下げの経緯を記した文書からかなりの記述が削除されていたことがわかった。のちに改ざんの調査報告書を公表した。籠池夫妻は言う「私たち切り捨てられたんよねぇ」。

学校法人加計学園は、2017年、52年間認めていなかった獣医学部を新設する。「国家戦略特区」の事業者に選定されたのだ。首相秘書官から「本件は首相案件」と言われたと記されていた。審査当時、文科省事務次官だった前川喜平氏はその存在を認めた。前川喜平氏は今、地元の夜間中学でボランティアで子供たちを教えている。

事実に迫り、追いかけ、質問をし続ける。わからないことを聞いたり質問することは、間違ったことでもいけないことでもないのに、なぜ、遮られるのか。なぜ記者クラブでは誰も聞かないのか。それどころか質問会場には「また、はじまった」というような空気が流れる。しかも、報道室長から彼女が質問している最中に、まるでじゃまするかのように頻繁に「わかりやすくお願いします」とか、「手短に」といった言葉で割って入られる。

望月記者が電話で脅されている場面も出てくる。最初は穏やかだが、彼女を傷つけ、侮辱し、怖がらせる。どんな扱いをされても、彼女が続けられるのは「がんばってくれ」という応援の声があるからだと最後に明かされた。

 

望月記者の中に新聞記者の矜持を見たような気がした。聞いてはいけないという雰囲気に負け、知りたいことを知ろうとしないで口を閉ざす。忖度という言葉に象徴されるように、顔色を見て動くのは日本人だけなのだろうか。外国の記者が事前に質問を提出しろと言われるなんて「ありえない」とコメントしていた。日本では当たり前になってしまったこと。どう考えてもおかしい。

これはジャーナリストも記者クラブも含めてすべての日本に満ちた空気感ではないか。果たして私が彼女の立場だったら、できるだろうか。突きつけられる。私にできるのか。

監督は、報道系、ドキュメンタリー系の番組を中心に数々の作品を手掛ける森達也氏。オウム真理教を扱った「A」は、世界的に大きな話題となった。プロデユーサー河村光康氏は、映画「新聞記者」と同時に上演したかったと語っていた。

タイトルの「i」というのは、私たち一人ひとりに突きつけた言葉だ。あなたはどう考える。あなたならどうする。

全国で上映中

 *2019年12月1日現在の情報です*写真・記事の無断転載を禁じます。

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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