Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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東京都庭園美術館「建物公開2023 邸宅の記憶」展 開催中

東京都庭園美術館本館は、美術館の建物そのものが重要文化財に指定されています。広大な緑に覆われた敷地の中にたたずむこの邸宅は、1933年に朝香宮邸として建てられました。1920年代から30年代にかけて流行したアール・デコ様式がふんだんに取り入れられています。

いつも企画展があるたびに、こちらを訪れますが、門からのアプローチでまず俗世と乖離され、さらに建物内に入ると細部へわたる美意識に胸を打たれます。芝生に覆われた開放感のある洋風庭園と築山や池のある日本庭園に面してたたずむ洋館は、守り続けたい日本の宝のひとつです。

ここで、建物をじっくり拝見しながら、朝香宮家の方々に思いを馳せます。今回の展示では、修復された宮邸時代の家具や調度品が置かれ、当時の住まいの様子が再現されているほか、写真や映像資料、工芸品、衣装などが集められました。また、通常とは違ってカーテンが開け放たれているため、自然光が外から降り注ぎ、生活していた方たちが、どんな思いで庭を眺め、どのように暮らしていたかを想像することができます。

書斎

全体の設計は、宮廷建築を担う宮内省内匠寮(たくみりょう)が手がけ、主な部屋の内装は、フランスの室内装飾家アンリ・ラパン、正面玄関のガラスのレリーフやシャンデリアのデザインは、ルネ・ラリック、大広間や大食堂の壁のレリーフはレオン・アレクサンドル・ブランショ、大客室と大食堂の扉のエッチング・ガラスはマックス・アングラン、玄関入ったすぐの次室にある印象的な香水塔はアンリ・ラパンのデザインです。

向こうに見えるのが「香水塔」

朝香宮家は1906年に明治天皇から号を賜って創設されました。久邇宮(くにのみや)朝彦親王の第8王子鳩彦(やすひこ)王は、1910年に明治天皇の第8皇女允子(のぶこ)内親王とご結婚され、白金台の御料地1万坪を下賜されました。鳩彦王が欧州留学中にフランスで交通事故にあわれ、長期療養のため2年半余りお2人でパリで過ごされています。1925年にパリで開催された「アール・デコ博覧会」に影響を受け、帰国後、アール・デコ様式の邸宅の建設を進められ竣工しましたが、妃殿下は完成した年の11月にご逝去されました。お子様が4人おられ、第二王女が、今回の映像などを残していらっしゃいました。

玄関のガラスレリーフの扉

朝香宮は皇室離脱される1947年までここに住まわれ、それ以降は、吉田茂外相兼首相の公邸となり国賓や公賓をもてなしました。そして1981年東京都の所有となり83年に庭園美術館となりました。

展示の中に、ボンボニエールという小箱が約350点もありました。これは皇室独自の文化として今も受け継がれている、御慶事を記念する引き出物だそうです。銀製のものだったものが、時代によって素材が変わったり、形が変わったりしています。そのボンボニエールにまつわる話が、映像資料にも登場します。

天井を見上げ美しい照明に注目し、壁や暖炉カバーの装飾を眺め、窓から外の景色を見る。バルコニーの床一面の細かい天然石のモザイクデザインも、なんて凝っっているんでしょう。建物公開展は、年に一度開催されています。

 

「東京都庭園美術館「建物公開2023 邸宅の記憶」展 2023年4月1日(土)~6月4日(日)10時~18時(休館日は毎週月曜日)オンラインでの日時指定予約制 会期中、邸内の写真撮影可能。

*2023年4月7日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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