Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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浄瑠璃寺九体(くたい)阿弥陀修理完成記念 特別展「京都・南山城(みなみやましろ)の仏像」

一度は行ってみたい京都・南山城。ここには奈良時代や平安時代に創建された古刹が点在しています。

平安時代の貴族たちは、極楽往生を願って九体の阿弥陀仏を阿弥陀堂に安置しました。その九体の阿弥陀仏が唯一現存するのは、南山城にある浄瑠璃寺だけです。当時の彫像・堂宇(どうう)が今もなお、大切に守られています。今回、5年かけた修理が完成し、そのうちの1体が東京国立博物館にやってきました。

左から多聞天立像(四天王のうち)平安時代11~12世紀、阿弥陀如来坐像(御優待阿弥陀のうち)平安時代12世紀、広目天立像(四天王のうち)平安時代11から12世紀 京都・浄瑠璃寺 いずれも国宝

そのほかにも南山城にある11の寺社から国宝や重要文化財がきています。点在する寺社を歩くことなく、上野の東京国立博物館に一堂に会する貴重な展覧会です。

平安時代中期、極楽往生するには生前の行いや信心深さなどに応じて9通りの方法があると説かれました。その往生の仕方になぞらえてつくられたのが9体の阿弥陀如来像です。9つが揃っていることが重要で、立った像は約480センチ、座った像は約240センチというサイズもおおよそ決められていたようです。といっても、これだけのものをつくるには、大量の材料を調達し、仏師の人数も確保しなければなりません。それだけ多額の費用をかけ、事業を成し遂げることができる力のある権威者でなければつくれませんでした。九体阿弥陀は、平安時代の一時期に集中していたそうです。

展覧会場では、仏像そのものの美しさや、彫刻の素晴らしさをじっくり観ることができ、また前からだけでなく、横から後ろから全方向から明るい光の中でじっくり眺められます。寺院を訪れた時の敬虔な空気感とは違いますが、仏様が鎮座する静謐な空間であることに違いはありません。神聖な空気の中で、美術品としてじっくりと拝見できるのはありがたい。

薬師如来坐像 平安時代9世紀(重要文化財) 京都・薬師寺

千手観音と言うのは、奈良時代までは本当に千本の手をつくっていたそうですが、平安時代には42本に省略してつくられるようになったのだとか。ところがこの寿宝寺の千手観音菩薩立像は、実際に千本手がありそうだと学芸員の方が話していました。会期中に数えてみるそうです(笑)。

左から隆三世明王立像 平安時代12世紀、千手観音菩薩立像平安時代12世紀(重要文化財)、金剛夜叉明応立像平安時代12世紀 京都寿宝寺

展覧会公式図録が超お勧め。仏像の写真が大きく美しく、軽いところが魅力です。

 

浄瑠璃寺九体(くたい)阿弥陀修理完成記念 特別展「京都・南山城(みなみやましろ)の仏像」2023年9月16日(土)から11月12日(日) 東京国立博物館 本館特別5室 *会期中、一部作品の展示替えを行います。:HPはコチラ:https://yamashiro-tokyo.exhn.jp/

*2023年9月19日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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