Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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無農薬、無肥料の自然栽培米のシャリをにぎる「築地玉寿司 ささしぐれ 表参道ヒルズ店」リニューアルオープン

ササシグレ」というお米をご存じでしょうか。ササニシキの親で、1950年代から60年代にかけて東北地方などで広く栽培されていましたが、70年代に入るとササニシキに田んぼを譲り、栽培されなくなっていました。わずかに残っていた一握りの種もみから、復活させたのが、「奇跡のリンゴ」で知られる木村秋則さんです。

木村さんは、リンゴだけでなく、お米も野菜も作ります。もちろん作り方はリンゴ同様、木村式自然栽培で、虫や雑草と共生し、農薬や化学肥料、除草剤を一切使いません。自然の力で育てるため、手間と時間がかかり収穫量も一般的な栽培に比べて少なく、生産者にとっては苦労の多いお米ですが、味も安全性も抜群です。

ササシグレ」の特徴は、大きめでしっかりした粒立ち、自然な甘みとふくよかな香りです。冷めても風味が損なわれないため寿司米としての適性が高いとわかりました。「ササシグレ」は、木村さんが指導して栽培されるようになり、収穫量が増え、美味しいと認められるようになってきました。ところが売れる見込みがないと、なかなか農家も踏み切れません。そこで、1924年創業、今年101年目の江戸前寿司の株式会社玉寿司4代目中野里陽平社長は、宮城県のササシグレ栽培農家と契約し、必ず買い上げる覚悟を見せるため店名に「ササシグレ」と名前を入れました。

「ささ姫 にぎり8貫と玉子焼き」(お椀と有機野菜のサラダ付3080円税込) 「築地特撰にぎり11貫」(お椀と有機野菜のサラダ付4180円税込)「天然本鮪かま焼き」(3080円税込)

玉寿司は、「築地玉寿司」をはじめ、「すし きたろう」「すしくろ」「東京てまり鮨 こたま」など6つのブランドを展開しています。「ササシグレ」をシャリに使う江戸前寿司店「築地玉寿司 ささしぐれ 表参道ヒルズ店」をオープンさせたのは、今から9年前。繁盛店となり、2025年4月25日(金)今度は、表参道ヒルズの中でも並木道が見える側に移動し、店の広さも倍の40坪となってリニューアルオープンすることになりました。店の中に専属板前つきカウンターサービスのある6席の個室があるのも面白いところ。特別なお客様をもてなすことができそうです。

オープン前のメディア向け試食会では、まずネタがのっていない「ささしぐれシャリ玉」でしっかりとシャリを味わいました。普段食べているコシヒカリ系のもっちりした食感とは違い、あっさりとした味わいです。「胚芽がついたお米」と木村さんから説明がありましたが、普段食べている白米との違いはわかりませんでした。

  

せっかくなので、「乾坤一」というササシグレを50%まで磨いた純米吟醸(1合1078円税込)を頂いてみると、ほんのり甘く、しかし後味は残りません。

また、無駄を出さないように魚の皮や骨などに手をかけ、時間をかけて美味しく食べられるように工夫を凝らしたメニューもあります。写真の骨は鯵と穴子。寿司店で一番多く使われるのはマグロです。マグロの皮をゆでて細く切ってさっぱりと、血合いはゆでてから4,5時間水にさらして臭みを抜く、皮下脂肪も食べてしまいます。玉寿司の中野里社長は「我々は、自然の恵みである海の幸を享受して商売させていただいています。安定的で効率的なことばかりを追求するのではなく、人間にとっても地球にとっても持続可能であるためにどうしたらよいかと悩んでいたところ、出会ったのが、木村式自然農法です。野菜も有機野菜を使い、身体にも地球にも優しいメニューを考案しています。また、手間こそが価値だと考えていますので、職人の手仕事を見て楽しんでもらおうと、良く見えるようにネタケースもなくしました。一部の店舗で、お客様に握り体験をして頂いていて大変好評なので、こちらの店舗でも個室で楽しんで頂こうと思っています」と語ります。目の前の職人さんの手の動きが美しく、ずっと見ていられます。そして、表参道の並木道の緑と、いつもあるとは限らない、一期一会のメニューも楽しめそうです。

左:玉寿司の中野里社長 右:木村秋則さん

築地玉寿司 ささしぐれ 表参道ヒルズ店」渋谷区神宮前4-12-10表参道ヒルズ本館3階 03-6455-5263 HPはコチラ

*2025年4月28日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます

 

 

 

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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