魅力ある紳士達の出会い
第11回「モテたければ喋りなさい」
人が多く集まる場、例えばパーティーや宴会などで中心人物になる方法は
話題が豊富で話術に長けた男になることだ。
仕事においては勿論、プライベートでも人気があり女性からもモテるのは
間違いなく話術が巧みな男性なのである。
話題に事欠かず話し方がスマートでチャーミングであれば、
その人を取り巻くように人々が集まってくるものだ。
声は通らないし、話すのが苦手だという人は結構多い。
まず話し方に関して、何もアナウンサーのように淀みなく滑らかに喋る必要はない。
低くて渋い声、抜けない方言、ボソボソと喋る語り口。
全てが、その人ならではのかけがえのない個性なのだと思えばいい。
とは言え、あまりにも言葉が聞き取りづらいのは不利だ。
一音一音が、明瞭であるに越したことはない。
実は、アナウンサー講習で毎日必ず冒頭にやらされるのが発声発音練習である。
「ア・エ・イ・ウ・エ・オ・ア・オ・ア・イ・ウ・エ・オ」
お聞きになったことがあるかもしれないが、
これを「カ行・サ行・タ行・ナ行・ハ行・マ行・ヤ行・ラ行・ワ行」にわたって、
腹式呼吸で声を出し、正しい口の開け方で一音一音はっきりと発音する。
腹式呼吸についてはネットなどで紹介されており、できれば体得しておくと
長いプレゼンやスピーチの時のどに過重な負担をかけることなく声を出すことができ、
さらにマイクに乗りやすい声量で話し続けることができる。
ただ、あくまでも大切なのは一音一音を正しく発音できているかということなのだ。
鏡の前でチェックしてみると良い。
アはあくびの時のような大きく丸い口の開け方になっているか。
イは「い~だ」と子供のころにやったように横に引っ張るように開いているか。
ウは唇を前に突き出すような感じ。
エは「エッ」と驚くときのような口の開け方が綺麗にできているか。
オは口笛を吹くときのように口をすぼめているか。
構音というのだが、言葉を発音するために、
口・舌・歯などの器官を動かして音を作るのだ。
それにはまず正しい口の開け方が基本になる。
鏡を見ながら正しい口の開け方で音を作り、その形を記憶する。
そしてできれば朝起きたら鏡の前で、毎日この発声練習をやってみることをお勧めしたい。
音がクリアになって、聞きやすくなること間違いなし。
人から声がいいと褒められる事も増えてくると思う。
せめてここ一番のプレゼンがある日の朝は必ずやって欲しい。
ただ、いくら言語明瞭であっても話の内容が伴わなくては意味がない。
話題の豊富さに関しては、その人がどれだけアンテナを張り巡らして
生きているかということとリンクしてくる。
ただ漫然と生きるのではなく、日々の出来事から吸収し感じとる貪欲さ。
前向きな生き様。
これが話題の豊富さにつながるのである。
読書・観劇・映画鑑賞・スポーツ観戦・ライブ参戦・美術鑑賞・旅・・・趣味や経験も
話題の糧となる。
また、同性・同年代の人たちとしか話が合わない人を多く見かけるが、
そこに甘んじていてはダメである。
男性であっても女性誌などに目を通すなどして、
女性の関心事にもアンテナを張り巡らせるべきである。
若い人々に人気の音楽にも触れてみよう。
凝り固まることなく、ニュートラルであるべきなのだ。
また会合などで初対面の人と会話が続かないと嘆く人がいる。
朝刊を一紙で良いので熟読すれば話題に事欠かないと思う。
政治・経済・国際問題・社会情勢・スポーツ・芸能・暮らしと新聞には森羅万象、
全てが網羅されている。
その中から相手が関心を持ちそうな話題を投げかけてみる。
ピタリとはまれば話が転がっていくこと間違いなしである。
昨今ならさしあたって大谷翔平氏か大の里の話題を持ち出せばいいと思う。
話題豊富で話し上手な人は学級にいるときから老人ホームに入った時まで、
人気者でいられるはずなのである。
さあ、話術を磨こうではないか。

南 美希子 Mikiko Minami
(元テレビ朝日アナウンサー・エッセイスト・司会者・コメンテーター)
東京生まれ
東京女学館から聖心女子大学国語国文学科へ
大学3年生の時にテレビ朝日アナウンサー試験に合格。
3年終了後、1977年テレビ朝日アナウンス部に入社。
1986年12月に独立。
以降テレビ・ラジオ・執筆・講演・司会などで活躍中。
日本抗加齢協会公認のアンチエイジングアンバサダー。
美容・抗加齢に関しての知識も豊富。
東京理科大学オープンカレッジで話し方の講座を持つ。
https://mikikominami.net