Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のための焼酎入門

第41回「実際に焼酎を作る人、杜氏とは」

皆さんお久しぶりでございます。

焼酎マニアのヤマグチでございます。

年末年始のバタバタからなんと半年もお休みしてしまいました。

この前の回で倒れた話を書いたら、いくつかご心配をいただきました。

すいません。

ワタクシはもうすこぶる元気ですっ。

 

さて久々の今回は、実際に蔵で焼酎を作っている人たちについて語っていこうと思います。

日本酒と同じで杜氏と呼ばれます。

それではそもそも杜氏とは具体的にはどういうことなのか。

実際に蔵で焼酎を作る人たちは蔵子や蔵人と呼ばれます。

その中の最高責任者を杜氏と呼ぶわけです。

 

その杜氏の語源は「刀自」だと言われています。

それは古くは主婦や女房を指す言葉のようです。

でも現在の杜氏はほとんどが男性です。

ここで謎が現れましたよ。

少し解説しておきましょう。

 

元々酒造りは女性の役割だったようです。

酒造りの元祖は口噛みの酒。

米を口に含みモグモグと噛み潰し、唾液と混ざったものを壺などの容器に吐き溜めていく。

唾液中の酵素アミラーゼの力で醗酵を促すという手法です。

まだ日本が大和の国だった頃のお話ですが、その役を担っていたのが巫女や処女だったようです。

ですから酒は女性が作るものだったということです。

 

それがいつの間にか男性の仕事となり、なんなら女人禁制だった時代もあるくらいです。

その理由は下記の5つが言われています。

  • 女性は宗教的に血の穢れがあると考えられたため(土俵問題と同じ)
  • 女性は月経時に酵母の発芽を抑える毒素を発生すると言われるため(ミトゲネティック光線)
  • 女性が台所で糠を扱うようになり酒造りの菌に影響が出るのを恐れたため
  • 酒造りがどんどん大掛かりになり、女性の手に負えなくなってきたため
  • 男性が増えることで、女性の身の安全を守るため

今ではまた女性の杜氏も現れて活躍されているので、もはや過去の話とも言えますね。

 

さて本題の方に戻っていきましょう。

焼酎の杜氏についてです。

焼酎の杜氏は原則的には、蔵の中で働いている中で技術を磨き、杜氏になるという形をとっています。

しかし近世に入り、杜氏という仕事がいいお金になるということで、プロの杜氏集団が形成されました。

それが焼酎杜氏の元祖ともいわれる鹿児島の阿多杜氏と黒瀬杜氏の2大集団です。

それではこの杜氏たちのプロらしさとは一体どういうところなのでしょう。

 

まず1つは現代では一般的になっている「二次仕込み」を使いこなしていたところです。

当時は麹菌と原料、酵母、水のすべてを甕や桶に一度で仕込む「どんぶり仕込み」が主流でした。

しかし特に芋焼酎に関しては仕込みに失敗することがままあることでした。

そこで匠たちは麹菌から麹を生み出す過程を独立させた二段階の仕込み作業を確立させたのです。

それによって手間はかかりますが、焼酎造りの精度をあげていったわけです。

 

また麹に関しても匠たちは工夫を凝らしました。

当時は日本酒と同じ黄麹での焼酎造りが当たり前でした。

しかし九州地方では気温の高さから醪が腐敗することが多かったようです。

そこで匠たちは沖縄で泡盛造りに使われていた黒麹菌を導入します。

これで劇的に焼酎の製法が安定化し、とうとう大量生産にこぎつけるわけです。

ただし黒麹菌は蔵の内壁まで真っ黒にしてしまうほど扱いに労力を要します。

しかしそれを立派に使いこなしたのがプロの焼酎杜氏なのです。

 

このように焼酎杜氏は2大プロ集団として互いに競い合い、技術を磨いてきました。

そんな阿多杜氏と黒瀬杜氏も現在では数を減らしています。

黒瀬杜氏で片手に収まる程度、阿多杜氏に至っては最後の一人と言われています。

それは焼酎造りの自動化や機械化が進むことによって、焼酎の安定供給にこぎつけたことの裏返しでもあります。

ただこういった歴史的な存在が消えゆくことには少し寂しい思いも残りますが…。

 

さてざっと駆け足で来た長期休暇明けのコラム。

久しぶりにペンをとったので読みにくさがあったと思います。

どうもすみません <(. .)>

また今後も精進いたしますので辛抱強くお付き合いくださいませ。

 

それでは今回もおすすめの焼酎を一本紹介して締めたいと思います。

文中に出てきた黒瀬杜氏の一人の名を冠した、極みの本格芋焼酎です。

弟子が師に贈った、師の名前そのものの焼酎。

是非ご堪能いただきたい逸品です。

 

* 今回のおすすめ焼酎 *

「黒瀬安光」

芋焼酎・28度・鹿児島県・鹿児島酒造

2種類の麹を使い醸し出す、伝統の黒瀬杜氏ならではの手の込んだ仕上がりが魅力。

豊かな香りとまろやかな甘み、長く楽しめる極上の余韻が他を寄せ付けぬ圧倒的な存在感を出しています。

 

山口 昌宏
焼酎・梅酒が日本一、GEN & MATERIALを経営。酒全般マニアの元バーテンダー。

株式会社GENコーポレーション社長。
バーテンダーをしている中で、2000年に焼酎と出会いマニアに。
焼酎ブームの火付け役ともされるEN-ICHIで修業後、独立。
現在、東京・渋谷に数店舗を持ち、大阪にプロデュース店有。
昨年、兵庫・高砂に焼酎日本一の店舗「セイエイカン」を開店。

東京 焼酎&梅酒Bar GEN&MATERIAL

和歌山おでんと焼酎専門店セイエイカン

和歌山おでんと焼酎専門店セイエイカン インスタグラム

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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