紳士のための焼酎入門
第6回「焼酎造りに必須の“麹”とは何か」
ダイエットに成功しつつある担当の山口です。
50日間で11㎏の減量。
しかし止め時がわからなくなってしまい、現在も進行中・・・。
この健康的な生活、いつまで続いてしまうのか・・・。
さて今回は焼酎を造るのに欠かせない“麹”について書いていきたいと思います。
この“麹”っていうのは日本の酒造りには絶対的に必要な存在なのですが、いまひとつ世の中にその本当の役割や製造工程が知られていないようなので、改めて紹介していくことにしました。
せっかくの機会なので是非理解しておいて下さいね。
そもそも麹とはどういうものなのか?
この質問に対してお店などでもよく耳にするのは「麹菌という菌のことだよ」という答え。
ぶっぶーーー、違いますよー。
適当なこと自信満々で教えちゃダメー。
本当は「穀物に麹菌を繁殖させたもの」というのが正解です。
一体どういうことなんでしょう?
ここでいう麹菌というのはコウジカビとも呼ばれるカビの一種です。
要するに穀物にそのカビをいっぱい生やしたものが“麹”なんです。
米につけたら米麹、麦につけたら麦麹、というように必ず何かの穀物の名前が頭に付きます。
それが酒造りには必ず必要な“麹”ってものなんです。
なので日本の酒を造る際には、まず麹を造るという過程が存在することになりますね。
ちょっと説明的になりすぎるのもなんなんで図解してみましたよ。
どうでしょう。
日本の酒造りというのは2段階の菌の繁殖を経ているというのがおわかりでしょうか。
ではまたここでふとした疑問が沸いてきます。
1段階のみの菌の繁殖ではお酒は造れないのでしょうか?
いいえ、そんなことありませんよ。
現にワインやブランデーなどはブドウに直接菌が働きかけてお酒を醸しています。
実は泡盛なんかも米に直接菌と水を足して醗酵させているんです。
じゃあなんで日本酒や焼酎などはわざわざ麹菌を造るという手順を踏むのでしょうか?
それは日本人の知恵ともいうべきか、酒造りの効率が関係しています。
同じ量の穀物を使って造った時、2段階にした方が醗酵が効率よく進み、結果良質の酒がより多くできるんです。
手間は少しかかりますが、その辺りが日本人らしいと言えば日本人らしいですね。
また今では麹を使用しないと焼酎や日本酒として酒税法上分類されません。
税金が高くなってしまうシステムなんです。
日本の伝統を守るための措置でもあるんでしょうね。
さてここまで今回は麹についてざっとお話してきました。
途中に出てきた「泡盛は1回の醗酵」という点については次回のテーマとして保留しておきましょう。
それでは今回もいつものようにおすすめの焼酎を紹介しておきます。
今回もスペシャルで美味しい焼酎を用意しました。
* 今回のおすすめ焼酎 *
「鶴見原酒 111周年記念ボトル」
芋焼酎・38度・鹿児島県・大石酒造
蔵元の111周年を記念して造られた極上の芋焼酎原酒です。
こだわりにこだわり抜き、パンチの利いた高濃度の芋焼酎に仕上がっています。
入手困難ながら是非一度はお試し頂きたい名品です。

山口 昌宏
焼酎・梅酒が日本一、GEN & MATERIALを経営。酒全般マニアの元バーテンダー。
株式会社GENコーポレーション社長。
バーテンダーをしている中で、2000年に焼酎と出会いマニアに。
焼酎ブームの火付け役ともされるEN-ICHIで修業後、独立。
現在、東京・渋谷に数店舗を持ち、大阪にプロデュース店有。
昨年、兵庫・高砂に焼酎日本一の店舗「セイエイカン」を開店。
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