紳士のための焼酎入門
第8回「11月1日は焼酎の日!」
少し寒くなってきたので鍋&酒の組み合わせが多くなってきた担当の山口です。
寄せ鍋、しゃぶしゃぶ、すき焼き、カニすき、てっちり、などなど。
これからの季節はいろいろ楽しみが増えてきますね。
ただあまりに寒くなるのは勘弁なんですけど…。
さて今回はいつもと少し切り口を変えて「焼酎の日」についてお話ししていきたいと思います。
なんでこのタイミングかって、この11月にその日があるからなんです。
それにしても「○○の日」って、まだまだ知られていない日がいっぱいありますよね。
この「焼酎の日」もそのひとつと言っていいんではないでしょうか。
せっかくなんで、このコラムの中で少しその辺を掘り下げていってみましょう。
タイトルの通り、11月1日が毎年「焼酎の日」と決められています。
それはどういう経緯で決まってきたんでしょう。
発端となったのは九州の酒蔵が集まった「九州本格焼酎協議会」の会議だとされています。
昭和62年9月に行われたその会議の中で提案され、日本酒造組合中央会が承認した形です。
正式には「本格焼酎の日」とされています。
ではなぜこの日とされたのか。
2つの理由が言われています。
1つは焼酎の新酒、いわゆる焼酎ヌーボーができあがるのがこの頃だということ。
今では年中焼酎を造る酒蔵も増えてきていますが、さつまいもの旬を考えるとこの時期になるんです。
そういえば新酒を飲むという風潮自体が、焼酎全体の歴史からするとごく最近のことですけどね。
もう1つの理由は10月を「神無月」と呼ぶことに関連します。
全国各地の神様が出雲大社に一斉に集うとされる10月。
だから神様の留守の月「神無月」と呼ばれ、出雲地域では逆に「神在月」と呼ばれています。
11月の1日はそんな神様たちが地元に帰ってくるめでたい日でもあるんです。
そんな日に焼酎が新しい命を吹き込まれて新酒となる。
そういった考え方が根底にあるようです。
また余談にはなりますが、平成元年には同じ日を「泡盛の日」とも定められています。
なので前述の日本酒造組合中央会は現在は「本格焼酎&泡盛の日」と呼ぶこともあるようです。
負けじと平成19年には奄美大島酒造組合が5月9・10日を「奄美黒糖焼酎の日」と定めました。
みなさんそれぞれのお酒を広くPRするためにいろいろ一生懸命頑張っているんですね。
さてここまでざっと「焼酎の日」についてお話してきました。
ただ調べてみると11月1日って他にもいろんな日として制定されているんですね。
せっかくなんでずらっと並べてみましょう。
犬の日、川の恵みの日、教育の日、計量記念日、紅茶の日、古典の日、自衛隊記念日、すしの日、生命保険の日、点字記念日、灯台記念日、野沢菜の日。
これ全部11月1日なんですって!
理由は気になったらまたそれぞれ調べてみてくださいね。
少し長くなりましたが、今回もおすすめの焼酎を紹介しておきます。
今回も先月と同様に南国奄美の黒糖焼酎を用意しました。
* 今回のおすすめ焼酎 *
「島有泉 35度」
黒糖焼酎・35度・鹿児島県・有村酒造
原酒に近い35度という度数でこの焼酎本来の旨みを最大限に引き出しています。
与論島の豊かなミネラル分が充分に溶け込んだ秀作です。

山口 昌宏
焼酎・梅酒が日本一、GEN & MATERIALを経営。酒全般マニアの元バーテンダー。
株式会社GENコーポレーション社長。
バーテンダーをしている中で、2000年に焼酎と出会いマニアに。
焼酎ブームの火付け役ともされるEN-ICHIで修業後、独立。
現在、東京・渋谷に数店舗を持ち、大阪にプロデュース店有。
昨年、兵庫・高砂に焼酎日本一の店舗「セイエイカン」を開店。
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