Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

美食で旅気分🛫「オスマントルコの宮廷」編ブルガズアダ(麻布十番)にて

東京が好きな理由の1つは、ハイスタンダードな世界各国料理を体験できるレストランが大集合しているところです。そしてそのようなレストランでコース料理をいただくと、場所は移動していないのにその国や街や歴史をめぐる壮大な旅に出たような体験ができるのです。今回そのような体験ができたのは、ブルガズアダという麻布十番にあるトルコ宮廷料理のお店です。オーナーシェフのメフメット・ディキメンさんは正当なオスマン帝国宮廷料理の数少ない継承者で、トプカプ宮殿で振る舞われた料理を、現代的なセンスを交えながらも忠実に再現しているというのですからワクワク♪オスマン帝国は 13世紀から20世紀初頭まで続いた、現イスタンブールを中心に栄えた国。宮廷でのお料理はさぞかし贅を尽くしたものだったことでしょう。 
また、ブルガズアダは、2011年のザガット(グルメガイド)でチェックして以来、ず~っと行ってみたいと思っていたお店なので、13年越しの願いが叶って感慨もひとしお!2024年のクリスマスディナーに乾杯。

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さて、待望のメニューは次の通りです⇒
【Lale(ラーレ〜チューリップ〜)¥17,545 税・サ込】
◆トプカブ宮殿※王の門からご挨拶 はじまりのひと口
◆ポルチーニのポタージュ
◆ドルマバフチェ宮殿 帝位の間の舞踏会前菜の輪舞曲
・ベビーアーティチョーク野菜の旨味を含めにレモンのアクセント
シガラボレッキでく伸した生地にスパイスが香るベヤスペイニルを包みEVオリープオイルでフリットに
・じっくりソテした玉ねぎを焼き込んだ14世紀のレシピのオムレット
・マンタルソテホワイトマッシュルームのソテ
・フムス ひよこ豆のペースト
◆デニズマアスルレリ厨房から
本日の鮮魚
マリネにくぐらせふっくらと焼き上げてレモン、カシミールサフラン、たまねぎのソース
◆お口直し
◆アナイエメッキ厨房から
1.柔らかくジューシーなスプリングラムチョップ
エーゲ海地方の自生ハープ[ケキッキ】の香り
2.スパイス香る黒毛和牛イチボ挽肉のキョフテ

◆タトゥル厨房から本日のデザート
・ムハレビトルコの伝統的なライスプディング
・古くから伝わる宮廷スイーツ ヘルワ
◆チャイ

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はじまりのひと口は、ナスとヨーグルトの和え物が口に優しく、深い塩味のキャビアが引き締めてくれました。当時からナスは色々なお料理に使われていたようです。

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ポルチーニのポタージュからは、蓋を開けた瞬間からふくよかなポルチーニ香が濃厚に放たれました。ポルチーニと聞くとイタリアンの高級きのこを思い出しますが、トルコの宮廷料理でもポピュラーだったようです。というか多くのこのような高級食材やそれを使った料理の源流がトルコの宮廷料理にあるとの事なのです。それにしてもこのポルチーニ率の高さ、贅沢〜♪

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「ドルマバフチェ宮殿からの前菜」は10種類もあってしかもそれぞれ珍しい。最初の白ワインと合わせながら一つ一つゆっくりいただきました。マダムが教えてくれたのですが、ドルマバフチェ宮殿は、トルコの宮殿の中でも飛び抜けてゴージャスで近代的な作りだそうです。クリスタルでできた透明に輝く大階段が左右に広がっているとか!ガラスの靴を履いてクリスタルの大階段を登り終えると、スルタン(王様)と麗しいご馳走が迎えてくれたという想像でいただきます(笑)。白チーズを包んで特別な手絞りオリーブオイルで仕上げたシガーのような形をした前菜は特に白ワインを引き立ててくれました。左上の冷製スープにはエビが入っていて、独特の苦味が食欲をかき立ててくれると同時に胃腸に良さそう。当時王族たちは、毎夜美食が並ぶ宴席を繰り返していたので健康を害する者も続出したそう。それでドクターとシェフが協力して考案した宮廷料理のレシピは、栄養バランスの良い料理で、健康長寿やエイジングケアの効果が期待できたそうです。 
ちなみに、14世紀のレシピのオムレットはほぼ現代の味。その時日本は室町時代だったよなぁ。

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とても珍しかったのは、さくらんぼの種がふんだんに入ったバゲット。トプカプ宮殿の庭にはたくさんのさくらんぼがなっていたそうです。あの赤い実が中庭で朗らかに揺れている様子はさぞかしキュートで癒されたことでしょう。このバゲットの香りが鼻に入った途端、不思議なノスタルジーを感じました。この香り知ってる!なんとあのしっとりとした桜餅の香りだったのです。母が大好きな桜餅。このバゲットも喜びそうだな!

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2杯目の白ワインはシャルドネに。ものすごく甘いバニラ香がするシャルドネ。しかしながら、この後に出てくるお料理と絶妙なシナジー効果を奏でてくれました。

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本日の鮮魚はヒラメ。6キロもある大きなヒラメから調理してくれたとのこと。ぷにっとした弾力が豊かで香ばしい白身。デニズマアスルレリ厨房から来たと言う名前が付いていましたが、これはどんな厨房なのですかとマダムに聞くと。。。魚料理専門の厨房だと教えてくれました。トプカプ宮殿では専門によって15種類の厨房に分かれていて、肉料理の厨房やデザートの厨房などあったそうです。1皿1皿が職人技極まる逸品だったのですね。スルタン(王様)いいなぁ。

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お口直しはシュルベットというもの。これは今で言うシャーベットの原型だそうです。当時とても貴重だった氷(遠くの山から切り出してきた氷の塊を藁で包んで保存してあった)を、これまた超貴重だった砂糖と合わせてダマスクローズの香りをつけたもの。お腹の中から麗しい香りになれそう。

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出色だったのは、メインのスプリングラムチョップ。ラム独特の香りが絶妙に残りつつ柔らかくジューシーなお肉の味を引き立て、エーゲ海地方の自生ハーブが心地よいアクセントを演出。ケバブの国トルコの真骨頂と行った感じ。トプカプ宮殿のお庭にも羊が歩いていたりしたのかしら?後宮の姫たちは「かわいい」とか言いながらキャピキャピしているのだけど、肉専門の厨房では、次々と手際よくさばかれていく羊たちがいる。。。とか?
黒毛和牛のタルタルハンバーグも高級感溢れていましたよ。これは赤ワインに合わせたかったな。

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賑やかなデザートたちもそれぞれ美味しく。古くから伝わる宮廷スイーツの「ヘルワ」(写真手前)もシナモンが効いていておいしかった。

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チャイはイギリス風の紅茶と中国風のウーロン茶のあいの子のような味。ほっとして柔らかかった。薬膳効果がありそう。
トルコでは、このようなポットがどの家庭にも1台はあって、毎日紅茶を飲む文化があるのですよとマダムが教えてくれました。レストラン中にこのようなトルコの調度品が飾られているので、想像もどんどん広がっていきます。

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トプカプ宮殿にトリップさせてくれるようなインテリアに囲まれて、スルタン(夫)&姫気分でディナーを満喫できました♪サーブしてくださった娘さんが、「赤いドレスがお似合いで、お店の赤ともぴったりでステキです」と言ってくれてさらにハッピー♪社交辞令でもいいのよ〜♪

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お料理も、お店の方々との会話も、全てハッピーなレストランです。 
【ご参考】ちょうど2024年12月25日まで開催していた 「日本・トルコ外交関係樹立100周年記念 トプカプ宮殿博物館・出光美術館所蔵 名宝の競演」展で出光佐千子館長とトークしましたトプカプ宮殿の宝物の記事が出ていますのでよかったら合わせて読んでみてくださいね⇒ トプカプ宮殿博物館・出光美術館所蔵 名宝の競演」スルタンのコーヒーカップ・スタンド、可愛くてイチオシ!@ 日本経済新聞「おしゃべり美術展」⇒
https://art.nikkei.com/magazine/1451/

【店舗基本情報】
店名 ブルガズ アダ(BURGAZ ADA)
お問い合わせ 050-5571-1970
住所 東京都港区麻布十番3-7-4 麻布六堂 3F

菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
パトロンプロジェクトFacebook: https://www.facebook.com/patronproject/
菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

インスタグラム:https://www.instagram.com/cocomademois/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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