Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのお出かけエンタテインメント

英国ロイヤル・オペラ・ハウスシネマシーズン2023-24オペラ『カルメン』9月6日~12日

若き新星アイグル・アクメチーナを私が最初に見たのは、METライブビューイングの『カルメン』でした。初めて見る彼女に目が離せなくなり、そのベルベットのような光沢のある声に魅せられました。このアクメチーナが、人気の演出家ダミアーノ・ミキエレット新演出『カルメン』に登場します。

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アクメチーナは、ロシアの小さな村で生まれました。ロシアで開催された国際コンクールで、英国ロイヤルの研修コース「ジェット・パーカー・アーティストプログラム」の所長に見出されオーディションを受けて見事、超難関の研修コースに入ることができたのです。このプログラムには世界中から応募があり、歌手5名、指揮者、ピアニスト、演出家各1名が選抜されます。プロを対象に2年のプログラムで、演技や語学の指導などを受け、本舞台に立つことができるのですが、アクメチーナは18歳で入所するという異色の研修生でした。本舞台でカルメンのカバーとして参加したところ、歌手が降板したため、いきなり主役でデビューするという幸運の持ち主。まだ20代後半ですが、インターナショナル・オペラ・アワード2023を受賞しています。この先、彼女はいったいどのようになっていくのか楽しみです。

ダミアーノ・ミキエレットは、ご存じ2015年演出『カヴァレリア・ルスティカーナ』『道化師』でオリヴィエ賞を受賞した、世界で最も人気のある演出家の一人。ミキエレットは、カルメンを「生きる喜びを祝う人生の讃歌」ととらえています。

舞台は20世紀スペイン西部の田舎町。人々は危険なほど暑い太陽が照りつける中、閉塞感を持って暮らしています。ドン・ホセは、純朴な警官。通常は登場しない、ドン・ホセの母親が黒装束でまるで死神のように見え隠れします。カルメンは工員で、男を惑わす女。エスカミーリョはカルメンに恋する闘牛士です。

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たくさんのせりふで物語が進みます。ドン・ホセには、世界のテノール、ピョートル・ベチャワ。ドン・ホセの婚約者ミカエラにオルガ・クルチンスカ。エスカミーリョにコスタス・スモリキナス。

ミキエレットの演出と息のあった指揮をするのは「音楽はセリフだ」と語るアントネッロ・マナコルダ。オケの一体感が素晴らしい。

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児童合唱団も大活躍です。歌だけでなく演技も担い、観客の笑顔を誘います。アクメチーナのカルメン、そしてミキエレットの新演出は、多くの人々の心をつかみ、記憶に残る舞台となるでしょう。

2024年9月6日~12日 TOHOシネマズ日本橋ほか 1週間限定公開 時間など詳細はこちらのHP

*2024年9月7日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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