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麻布台ヒルズ開館記念「オラファ―・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」2024年3月31日まで

2023年11月24日に開業した麻布台ヒルズに誕生した麻布台ヒルズギャラリーで「オラファ―・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」開催中です。

オラファ―・エリアソンは、世界で活躍する現代アーティストです。「すべてのものごとは、たとえ安定しているように見えるものでさえ、大きなスケールで見れば動きの中にある」「アートとは、想像力を駆使して、不可能を可能にし、見えないものをみえるようにすることなのだ」と語るエリアソン。

気候変動をはじめとした環境問題への積極的な取り組みでも注目され、世界を構成する様々な要素である色、光、動き、太陽などに導かれた作品は、日常生活に紛れている鑑賞者をそれらと向き合わせます。新作の大型インスタレーション、水彩画、ドローイング、立体作品などが展示されていますので、ぜひエリアソンの世界に触れてみてください。

まず出迎えてくれるのは屈折する光を内包する幾何学多面体《蛍の生物圏(マグマの流星》2023年。スタジオ・オラファー・エリアソンは、今や建築事務所のように150人ほどのスタッフを抱え、中には幾何学者もいるのだとか。この作品は数十年に渡る研究の成果です。同心円状に配置された3つの多面体は小さいものが他の多面体の中に入り込み、幾何学的なものを壁や床、天井に投影します。

次の作品《終わりなき研究》2005年は、体験付きチケットを購入すれば実際に自分で作品に触れ、さらに自分とエリアソンとのコラボ作品ともいえるものを制作することができます。19世紀式の、振り子を用い幾何学像を生成する機械は振り子の動力でペンを動かし、紙の上にらせん状の線を描くドローイングマシンです。振り子の動かし方によって描かれるものが変化し、水平面に円運動のリズムを記録していきます。

壁にあるドローイングはすべてこの作品で描かれたもの。森美術館アソシエイト・キュレーターの徳山拓一さんが、ここ麻布台ヒルズで制作しました。体験者は、A3サイズの紙に世界に一枚しかないドローイングを描き、最後に麻布台ヒルズと文字が刻まれたらせん状のデザインのはんこを押して持ち帰ることができます。

「オラファー・エリアソン:想像力を擁する砂漠」は、太陽のドローイングと風の記述です。カタールの砂漠で大規模インスタレーションを公開した今年の4月、砂漠の上で制作されました。太陽光を利用して描かれたドローイングは、焦げ目が見え太陽のエネルギーを感じます。風を動力にして描いた作品からは無意識の中の意識が感じられました。

ダブル・スパイラル》2001は、長いスチール製のチューブが回転しています。

世界初公開の新作《呼吸のための空気》2023。これは、パブリックアートと同じモジュールでできています。リサイクル素材で、ごみを焼却したときに空気中に放たれる亜鉛を集めた再生金属でできています。すきまなくピタリとつなぎあわされています。

水彩画は、太古の氷河の小片を使って制作されました。絵画の表面に氷片を置き、顔料を流動させ、徐々に溶けていきます。氷河数千年の時間を感じることができるでしょうか。

水と光を用いた刺激的な大型インスタレーション《瞬間の家》2010年は、天井高5メートル、全長20メートルを超える真っ暗闇の中にストロボの光が放たれ、水の流線形が描かれます。こちらは2010年に発表された作品を再構成したもの。水の曲線を味わうために、水しぶきを浴びながら中に進んでみてください。目が疲れたら、光を見ないように気を付けて。

会場を出たら、森JPタワーのオフィスロビーのパブリックアート《相互に繋がりあう瞬間が協和する周期》2023も忘れずにお立ち寄りください。このギャラリーから少し歩きます。

エリアソンの哲学が視覚化されたようで、知れば知るほど奥深さが感じられます。一度触れると、虜になりそう。

チケットは、通常のチケットと作品体験付チケットがあります。すでに1月は完売していますので、体験したい方はお早めに。「オラファ―・エリアソン展」2023年3月31日まで 麻布台ヒルズギャラリー HPはこちら 麻布台ヒルズギャラリー開館記念 オラファー・エリアソン展 (azabudai-hills.com)

*2023年12月2日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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