Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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紳士のためのお出かけエンタテインメント

2026年5月国立劇場文楽「伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)」第3部(2026年5月10日~25日)

腕が飛んだり足がはねたり、血みどろになって切りまくる、本当にあった話を歌舞伎にし、文楽に移した物語。この凄惨な場面、お人形でよかったと思いました。

今回の文楽名作入門は「伊勢音頭恋寝刃」。スタート時間は夜ですし、1時間と時間も短く、派手な場面で気持軽に文楽が楽しめます。

伊勢参りの精進落としで賑わう遊郭。主役の福岡貢は、遊女お紺と恋仲でした。舞台は「油屋」。みんな団扇や扇を使い、夏なのだなぁとわかります。貢は、主がなくした名刀「青江下坂」(あおえしもさか)を探しあて、やっと手に入れることができましたが、鑑定書である折紙(おりかみ)が見つかりません。

主の失脚をたくらむ徳島岩次が持っているのではないかと考えた貢は、岩次がお紺に惚れていることを利用して、探るように頼んでいます。私としては「それってどうなのよ」と思うわけですが、お紺は貢のために岩次と祝言をあげ、鑑定書を手に入れようとします。

一方、岩次がお紺を身請けすれば、口をきいた自分にも大金が手に入ると遊郭の仲居、万野(まんの)は憎々しく策謀を巡らせます。貢を悪者に仕立てあげ、お紺が貢に愛想尽かしするように仕向けます。

(左)福岡貢:吉田玉男 (右)仲居万野:吉田玉也

貢は、遊郭の料理人で家来筋に当たる喜助に名刀を預けて中に入ると、それを見ていた岩次が、鞘を外して中身だけ自分の刀と入れ替えます。その様子を喜助は見ていました。

岩次とお紺が祝言をあげることに怒った貢は、喜助から、入れ替えられ鞘だけが自分のものではない名刀を渡され遊郭から追い出されます。

お紺は、岩次から折紙を手に入れます。するとそこに、刀が違っていると貢が戻ってきました。万野と争ううちに、鞘が割れ、思わぬ形で切りつけてしまいます。すると、貢は狂ったかのように次々に、何の関係もない人まで斬り始めるのでした。騒ぎにかけつけたお紺が、意趣返ししたわけではないと本心を語り、喜助からもそれこそが名刀だと告げられると、ようやく落ち着く貢。そこにやってきた岩次を切り捨て、刀と折紙を主に届けるのでした。

(左)福岡貢:吉田玉男 (右)女郎お紺:吉田一輔

歌舞伎では名刀の妖力として演じられ、貢役には仁左衛門がぴったりと思っていましたら、やはり演じていました。凄惨な場面が、美しく演じられているのでしょう。

文楽で、貢の狂気を演じる人形遣いは、人間国宝の二代目吉田玉男

今回は、人間以上に表情豊かな人形たちを見るために、オペラグラスを持参するのを忘れてしまって残念。ただ、貢の衣装が、一人斬るたびに返り血を浴び、ドンドン血みどろになっていく様子だけはわかりました。一体、何着着替えたのでしょうね。

*2026年5月21日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます 写真提供:国立劇場 撮影:小川知子

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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