Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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紳士のためのお出かけエンタテインメント

4月25日スタートのMETライブビューイングは、ベートーヴェン唯一のオペラ「フィデリオ」

フィデリオ」がライブビューイングに初登場です。ベートーヴェンはオペラを一つだけ書きました。それが「フィデリオ」。特に第二幕は第九を彷彿とさせます。

演出はドイツの名演出家・故ユルゲン・フリム。MET(ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場)のために新制作したものの再演です。指揮は情熱的で劇的な音楽を紡ぎ出すスザンナ・マルッキ。METのピーター・ゲルブ総裁の「圧政への個人の抵抗と英雄的行動は、今こそ上演すべき作品です」という力強い言葉が心に響きます。

c)Karen Almond/Metropolitan Opera

主役のフィデリオ、実はレオノーレにリーゼ・ダヴィドセン。双子のお子さんを身ごもっているそうで、舞台で台の上にのったりするので転んだらどうしようかとドキドキしました。牢番ロッコに長年この役を演じているルネ・パーペ。不法に投獄されている夫のフロレスタンにデイヴィッド・バット・フィリップ。

物語は・・

牢番ロッコの娘マルテリーネはフィデリオに夢中。しかしフィデリオは投獄されている政治犯の夫フロレスタンを助けるために男装して牢番の手伝いとして入り込んだ女性レオノーレだった。フロレスタンは監獄所長ドン・ピツアッコの悪事を暴こうとして投獄されていた。大臣の視察の前にピツアッコは、フロレスタンを亡き者にしようとする。

軽快な序曲で始まり、幕があがると恋のもつれ話なのかと思わせます。しかし、そこには政治犯として投獄されている夫を助けるために男装して潜入しているフィデリオがいます。第一幕では、至難のアリアを歌うソプラノ、リーゼ・ダヴィドセンの芳醇な歌声が響きます。暴虐への怒り、そして夫への愛と命がけの行動を起こす勇気、さらに自分の命を危険にさらす恐怖など、様々な感情がこめられ「驚異的に難しい」と本人に言わしめるアリアです。卑劣な監獄所長ドン・ピツァロに、トマシュ・コニエチュニがピタリとはまります。

第2幕、夫フロレスタンの絶望のアリアも最初の第一声から集中力がすごい。牢屋の中で妻のことを思い続けるフロレスタン。牢番ロッコの人柄の良さが演技からにじみ出ます。フィナーレの合唱は「素晴らしい妻を得たものは、この歓喜に参加せよ」と歌いあげますが、なぜか気恥ずかしい気がします。

c)Karen Almond/Metropolitan Opera

ベートーヴェンは、交響曲を中心に作品を書いているため、この「フィデリオ」もメロディーは美しいのですが、歌う人たちにとってはかなり難しいようです。特に息継ぎがたいへんそう。

 

2025年4月15日(金)~5月1日(木)東劇のみ5月8日(木)まで2週間上映 HPはコチラ

*2025年4月26日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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