Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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紳士のためのお出かけエンタテインメント

9月の東京フィルの「午後のコンサート」はチャイコフスキー

9月7日Bunkamuraオーチャードホールで「東京フィル渋谷の午後のコンサート」が開催されました。日本を代表する指揮者小林研一郎氏のトークを交えながらのコンサートは、ユーモアにあふれサービス精神と音楽への深い愛でいっぱいでした。

コバケンのチャイコフスキークライマックス」と題し、コバケンさんの愛してやまない作曲家、チャイコフスキーを取り上げました。まずは、歌劇「エフゲニー・オネーギン」よりポロネーズ。華やかで明るい音楽に満たされます。音楽が胸いっぱいに広がって幸せってこういうものだったんだなぁと久しぶりに感じられました。コバケンさんは、指揮の途中で指揮棒を振らず「お客様の心のひだに直接入りますように」と客席に向かって手を広げます。

「チャイコフスキーは1840年生まれ、私は1940年生まれ」と語るコバケンさんは、浅からぬ縁を感じているようです。2曲目は、弦楽セレナードハ長調より第一楽章。コンサートマスターの依田真宣さんに短く弾いてもらいながら解説をしてきます。涙が出そうなほど美しい旋律なのに、CMのイメージが強く、なんだかおかしくなってしまって困りました。

3曲目は、スラヴ行進曲変ロ短調。「憂いに富んだ音の戯れ、かげりのある音楽です」とお話しされました。戦争犠牲者への挽歌に始まり、強烈な音の渦に巻き込まれます。私は、アルフォンス・ミュシャの壁一面サイズの一連の作品を見たことを思い出しました。2017年、国立新美術館で全20点が展示され、そのサイズと迫力に圧倒されました。

後半は、三大交響曲です。冒頭は、午後のコンサートお決まりの指揮者への「質問コーナー」。コバケンさん、コンサートマスターの依田さんを従えて登場します。

交響曲第6番ロ短調「悲愴」より第3楽章。「悲愴」の中で、唯一、華やかで情熱的な楽章ではありますが、「不吉な死を暗示している。この曲で慟哭の示し方を聴いてください」と語ります。

「元アスリートなんですか?」という質問に対しては、中学2年生の時にやったこともない3段飛びの試合に突然出るように言われ、体操の先生だったお父様に飛び方を教わり出場したところ、県の記録を作ったことがあると披露されました。音楽の才能だけではなく、身体能力も高いのですね。能力が集まっている天才なんだということを再確認。

次は、交響曲第5番より第2楽章。ホルンのソロで始まる美しい主題を中心に進み、クラリネットのソロへとつながります。

  

締めくくりは、交響曲第4番より第4楽章。「炸裂する音、走る続けるすごさを感じてください」とすさまじいスピードで終わりを迎えます。

最後に「残念ながらアンコールは用意していないんです」と語り、交響曲第4番4楽章の終盤のクライマックスを再度、演奏してくれました。

コバケンさんのお人柄が伝わる「午後のコンサート」。超一流の指揮者たちが登場し、お話を交えながら名曲に親しめる楽しいひと時です。舞台の上の方たちも客席もリラックスして気軽に本格的なクラシックに触れられる機会、ぜひ足を運んでみてください。

 

*写真はすべて撮影=寺司正彦/提供=東京フィルハーモニー交響楽団 *2021年9月21日現在の情報です。*記事写真の無断転載を禁じます。

 

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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