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METライブビューイング 2024-25 シーズン開幕は「ホフマン物語」

いよいよ、METライブビューイングの新シーズンのスタートです。ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演された最新オペラを映画館で楽しむライブビューイング。オッフェンバックのオペラ「ホフマン物語」が2024年11月8日(金)に始まりました。

トップバッターにこの演目を選んだのは「古典を新たに上演し、芸術形式を発展させることが大事。オペラを未来へつなげたい」とメトロポリタン歌劇場のピーター・ゲルブ総裁は語っています。オッフェンバックはオペレッタを得意とし、「天国と地獄」などが有名ですが、「ホフマン物語」は彼にとって唯一のオペラであり、また未完でもあります。

©Karen Almond/Metropolitan Opera

物語は・・・

19世紀のドイツ。ホフマン(ベンジャマン・ベルナイム)は、恋人である歌姫ステラの舞台が終わるまで酒場で酒を飲んでいる。ホフマンは失った3つの恋について語り出す。

1つ目は、物理学者スパランザーニの娘オランピア(エリン・モーリー)。この世のものとは思えない美しい歌を披露する彼女は機械人形だった。

2つ目は、歌手志望のアントニア(南アフリカ出身のプレティ・イェンデ)。歌手だった母が歌で命を落としたため、歌うことが禁じられていた。しかし、悪魔にそそのかされて歌ってしまい絶命する。

3つ目は、高級娼婦ジュリエッタ(クレモンティーヌ・マルゲーヌ)。ホフマンは、恋敵シュレミルと決闘して勝利するも、ジュリエッタは姿を消してしまう。

そして、ステラも去っていってしまう。有名なクラインザックの歌が哀しく響く。そこに芸術の女神ミューズが姿を現し、ホフマンに祝福を与え、恋が彼を成長させ、涙でさらに成長し本物の詩人となったと告げる。

 

酔いどれ詩人のホフマンは、今、大注目のフランス人テノール、ベンジャマン・ベルナイム。METライブビューイングの「ロミオとジュリエット」のロミオ役が記憶に新しく、そのエレガントな声で世界中の人を魅了しました。また、今年のパリオリンピックでも歌っています。第一幕のホフマンの「クラインザックの歌」は、歌詞を見るとなんとも暗いものですが、曲調が調子がよく楽しめます。

©)Karen Almond/Metropolitan Opera.

コロラトゥーラを駆使し輝かしい高音を響かせるオランピア役のエリン・モーリーの歌唱は圧倒的です。これは、何度も聴きたくて通ってしまいそう。正確で繊細で、機械的でコケティッシュで、たまりません。「森の小鳥が生垣で」に注目してください。

きらびやかな高音プレティ・イェンデの衣装がパープルのぼかしで素敵ですので見逃さないように。衣装デザイナーはキャサリン・ズーバー。高級娼婦役のクレモンティーヌ・マルゲーヌの力強い声は、悪い娼婦役を楽しんでいるようです。ホフマンを見守る親友ニクラウスに化ける女神ミューズにズボン役で初出演のベルジャンスカヤ。堂々たるものです。第4幕には名曲「ホフマンの舟歌」が登場します。また、悪魔役のクリスチャン・ヴァン・ホーンは、今年METオーケストラと来日し、「青ひげ公の城」で生声を聴かせてくれました。

©Karen Almond/Metropolitan Opera

演出はブロードウェイでトニー賞に9回ノミネートされているバートレット・シャー。指揮は、1998年に「ラ・ボエーム」でMETデビューしたマルコ・アルミリアート。この作品をMETで振るのははじめてです。この回が記念すべき500公演目に当たります。

さぁ、これからどんなオペラが登場するか、楽しみでたまりません。

 

METライブビューイング「ホフマン物語」上映時間約4時間 2024年11月8日(金)~14日(木)東劇のみ11月21日(木)まで2週間上映

HPはコチラ 

*2024年11月9日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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