Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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METライブビューイング「メリー・ウィドウ」は 3月19日(金)から

メトロポリタン・オペラを映画館で楽しむMETライブビューイング。今シーズンは、N.Y.で上演がありませんので、日本ではプレミアム・コレクション2021全6作品が上映されます。

3月19日(金)からは、2015年1月17日に上演されたオペレッタ「メリー・ウィドウ」で、軽やかに楽しく、ロマンティックな前奏曲からスタートします。オペラ界ブロードウェイが一緒になって作りあげた新演出のロマンティック・コメディは観るものをときめかせ、心躍らせます。

©Ken Howard/Metropolitan Opera

ベル・エポックのゴージャスな舞台は、20世紀のパリ。東欧の小国ポンテヴェドロのツェータ男爵が主催するパーティには、同盟を結んでいるフランス人がたくさんきています。ツェータ男爵は、大富豪の未亡人ハンナの財産がフランスに渡らないように、フランス人と結婚させたくないと、外交官のダニロ伯爵を差し向けます。ところが2人はかつて付き合っていた仲。わけあって、結婚することができませんでした。恋の駆け引きをする2人の行く末は・・・。

大富豪の未亡人(メリー・ウィドウ)ハンナ・グラヴァリを演じるのは、ルネ・フレミング。「ダンスもセリフもあるこの役をやるなんて思ってもみなかった」と語ります。

プレイボーイの大使館書記官ダニロヴィッチ伯爵はネイサン・ガン。ツェータ男爵に名歌手トーマス・アレン。演技も素晴らしい。

ツェータ男爵夫人のヴァランシエンヌ役は、ブロードウェイスター、ケリー・オハラ。この作品でMETデビューです。ケリー・オハラは、ご存じブロードウェイで渡辺謙と「王様と私」で共演した人物でトニー賞主演女優賞を受賞しています。学生時代はオペラを専攻していたそうです。彼女のお相手カミーユ・ド・ロシヨン役は、テノールのアレック・シュレイダー。伸びやかな声でなかなかの色男。ブロードウェイのスター、カーソン・エルロッドは、ツェータ男爵のまぬけな助手ニエグシュ役を演じ劇場を笑いでわかせます。

©Ken Howard/Metropolitan Opera

歌手たちは、プロのダンサーに囲まれて見劣りしないように踊るためレッスンを重ね、それぞれの実力にあわせて見栄えよく振り付けてもらいました。合唱団も全員が踊ったのだとか。1幕目はワルツ、2幕目はフォークダンスのコロ、3幕目では見事なフレンチ・カンカンが見られます。

演出・振付は、ブロードウェイの大御所であらゆる賞に輝くスーザン・ストローマン。MET初登場。ブロードウェイとMETとの違いは、演出も振付もオペラで一番重要な声を引き立たせることを最優先させたこと。そしてベストな環境で歌手が歌えるようにしたことだそうです。さすが活躍する世界は違っても超一流の人は違います。

衣装デザインは、トニー賞受賞デザイナー、ウィリアム・アイリ―・ロング。318着ものうっとりする衣装を制作しました。指揮はアンドリュー・デイヴィス。

大富豪の未亡人ハンナの登場の場面は、アメリカミュージカル全盛期のような振付です。階段に並んだ紳士たちが彼女に手を差し伸べ踊り歌います。酔いどれてやってきたダニロは、「会議はお酒をひっかけながらカフェ・フルールで、キャバレーのマキシムでお気に入りの踊り子に囲まれてくつろぐのが大好き」と遊び人ぶりを見せつけます。

2幕目のセットも見事で、邸宅から見える花火や、衣装もフォークロア調で美しい。ここで「ヴィリアの歌」「メリー・ウィドウ・ワルツ」など、一度は聴いたことがある名旋律が奏でられます。

©Ken Howard/Metropolitan Opera

METの歌手たちも素晴らしい演技で、茶目っ気たっぷりで笑いあり、踊りありの、普段のオペラとは違った表情が見られます。もちろんブロードウェイのスターたちは存在感が抜群です。

1905年の物語ですが、楽しさに満ちあふれ、スターたちは華やかな衣装を身にまとい歌って踊って恋をして、閉塞感の中、涙が出そうなほど素敵な時間を過ごせそうです。

METライブビューイング「メリー・ウィドウ」2021年3月19日(金)~3月25日(木)東劇のみ4月8日(木)までの3週間 HP:https://www.shochiku.co.jp/met/program/2991/

 

*2021年3月19日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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