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METライブビューイング「ロメオとジュリエット」2024年5月10日(金)~16日(木)東劇のみ23日(木)まで

誰もが知っているシェイクスピアの「ロメオとジュリエット」のオペラが上演中です。フランスの作曲家グノーは、シェイクスピアの原作にほぼ忠実にオペラ化し大成功をおさめました。ここから数々の名曲が生まれ多くの人から愛されています。

世界最高峰のニューヨークメトロポリタン歌劇場の最新オペラを映画館で楽しむMETライブビューイング。今回の上映作「ロメオとジュリエット」の舞台は18世紀です。演出は、バートレット・シャー。シャーは、映画のような美術で、オペラを現代に結び付け、違和感なく溶け込ませます。ブロードウエイでトニー賞に輝き、オペラの演出も数々手掛ける演出家は、この作品では特に布の使い方が効果的で印象に残りました。また、衣装が美しいのも見どころです。デザイナーたちは、フェリーニの『カサノヴァ』に魅かれ、もう少し享楽的で活力に満ちた世界を描いたそうです。

(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera

特筆すべきは、題名役の2人の歌声が、まさに絶頂期だということ。まるで天に昇るがごとく、高音をのびやかに力強く歌うのはジュリエット役のネイディ―ン・シエラ。10歳の時からオペラ歌手を目指し16歳でデビューした逸材です。

ロミオ役にはフランス人、ベンジャマン・ベルナイム。つややかで甘美な歌声が、上品で高貴なフランス語にのって紡ぎ出されます。本人も「フランスオペラの伝統はエレガンス」と語るように、レガートや声のラインが実に優雅です。私のお勧めは、小姓役のサマンサ・ハンキ―。歌も演技もいきいきと爽やかで魅力的です。

(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera

第1幕の「夢に生きたい」は誰もが知っている有名な曲。少女のジュリエットが清純な乙女心を歌います。コロラトゥーラも超高音も完璧です。ここで観客のハートをしっかりとつかみました。バルコニーの場面、第2幕では「ああ、太陽よ昇れ!」で、ベルナイムは、遺憾なく力を発揮します。第3幕で神父から結婚の祝福を受けたものの、乱闘で両家が和解することなどできなくなってしまいます。第4幕でジュリエットとロメオは、愛の幸福の中で一夜を共にしますが、あとは、よくご存じの悲劇へと向かいます。

(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera

指揮は、フランスオペラを得意とするMET芸術監督のヤニック・ネゼ=セガン。特にこの曲は、METから声がかかることになったきっかけになったのだとか。セガンは、「グノーの最高傑作だ」と語ります。きびきびと躍動感があり、ロマンティックで壮大な曲を歌手に寄り添いながら、まとめあげました。

 

METライブビューイング グノー「ロメオとジュリエット」2024年5月10日(金)~16日(木)東劇のみ23日(木)まで HPはコチラ

*2024年5月10日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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