Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのお出かけエンタテインメント

METライブビューイング「蝶々夫人」

オペラを映画館で楽しむ、METライブビューイング。今『蝶々夫人』を上映中です。

この作品、まず何と言っても舞台が美しい。演出の故アンソニー・ミンゲラは、アカデミー賞受賞映画『イングリッシュ・ペイシェント』の監督です。セピア色に彩られたこの映画の独特な世界観が私は好きでたまりません。オペラでもミンゲラならではの独創的な世界を創り上げるだろうという期待にたがわず、シンプルで、オリジナリティーにあふれた舞台に仕上がっています。提灯が効果的に使われ、ロマンティックな吊るし雛のような飾り、照明、障子、天井の鏡など、今までに見たことがない幻想的な美しさで観客を引き込みます。この作品は、2006-2007シーズンの新制作であり、彼にとってもこれがオペラデビュー作でした。

(c)Richard Termine /Metropolitan Opera

 

物語りは、19世紀の長崎で、アメリカ軍人の現地妻となった蝶々さんが主人公です。

蝶々さんは、家が没落して芸者となり100円でアメリカ人に買われた。まだ、15歳。周りはやきもきするのだが、彼女はいちずにピンカートンに恋をする。

ピンカートンを想って歌う『ある晴れた日に』は、知らない人はいないであろうという名曲。もう一曲、聴き逃してほしくないのが、蝶々さんが子供を抱きしめて歌うアリア『さよなら坊や』です。

 

蝶々夫人役の中国生まれのホイ・ヘーは、世界中でこの役を歌っているソプラノで、抒情的で、声の演技力にたけ、起伏にとんだ歌で涙を誘います。

急遽代役でたったピンカートン役のアメリカ人テノール、ブルース・スレッジは、これがピンカートン役デビューですが朗々とした歌声を響かせました。

魅力的だったのは、領事役のパウロ・ジョット。プラシド・ドミンゴが降板となり代役を務めました。ミュージカルで活躍する役者ですが、歌唱力はさすがのアメリカで、ミュージカルの質の高さがうかがえます。

(c)Richard Termine /Metropolitan Opera

幕間のインタビューでは、坊や(人形)を動かす文楽の人形遣いのような黒子の3人の話しがあり、肉体的にとてもきついということがわかります。日本の文楽に携わる方々の苦労がはじめてわかりました。また、アンソニー・ミンゲラが初演時に演出をつけていた場面も登場して興味をそそられます。

こんなに一途に愛されたら、男性だったら嬉しいのかしら。とても私は真似できそうにありません(笑)。

 

2020年2月13日まで 詳細はコチラhttps://www.shochiku.co.jp/met/program/2085/

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

https://cross-over.sakura.ne.jp/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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