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MET初演、新演出『皆殺しの天使』が、METライブビューイングで!

ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場のオペラを映画館で楽しむMETライブビューイング。

MET初演、新演出『皆殺しの天使』が1月27日(土)から2月2日(金)まで、全国上映中です。現代屈指のオペラ作曲家トーマス・アデスがルイス・ブニュエル監督の映画「皆殺しの天使」をオペラ化し、自ら指揮も務めています。「新作オペラの傑作」と言われているそうで、緊張感あふれ不安に満ちた不協和音の連続で、まるでホラー映画のよう。その世界に吸い込まれてしまいます。

©Ken Howard

 

METは毎シーズン、必ずオペラを新制作していて、新しいものを次々に生み出す気概と挑戦心にあふれています。

今回の作品は、群像劇。音楽はリズムが細かく、歌は複雑で、しかも超越技巧が要求され、美しい。

 

©Ken Howard

 

物語は、オペラ観劇後に食事に招待され立ち寄った豪邸での話。12人のゲストたちはなぜか帰る気が失せ、それぞれの色と欲、悪口、ドロドロした内面が表面化してきます。

食料も水もなくなり客たちはいったいどうするのか・・。

(C)Monika Rittershaus.jpg

露悪的で風刺も辛らつ、そして場面の反復が効果的に使われます。

不朽の名作映画『皆殺しの天使』のルイス・ブニュエル監督は、『アンダルシアの犬』(1928年)、『黄金時代』(30年)、『昼顔』(67年)、『自由の幻想』(74年)などをつくった映像作家。スペイン出身の彼がフランコ政権のファシズムを嫌ってメキシコに亡命していた時に制作した作品をオペラ化しました。

 

オペラでは見たことのない楽器も次々に登場します。

不思議な音を出す古くて貴重な、鍵盤のついた電子楽器、オンド・マルトノ。左手を使って音の色合いを変え、右手でボタンのようなものをなでています。おもちゃのような、小さい1/32バイオリン。アデスは、「小人が徘徊しているような雰囲気を出したくてこの楽器を使った」と話していました。

作曲家であり、指揮もしているアデスは「シュールな経験を味わってほしい」と言っていました。また「私より強い意志がペンを動かす」と語るように、まさに天からの啓示のように、難解で、しかも不協和音ばかりが重なるのに不快でなく完成された音楽を紡ぎだしました。

私はちょうど、登場人物レティシアが着ていたコートと同じ柄のコートを着て観に行っていたので、何だか他人事と思えずストーリー展開にドキドキハラハラ。って、感情移入しすぎですぅ(笑)

オペラは有名曲が聴ける古典が人気だけれど、新演出も見逃せませんね。

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*2018年1月31日現在の情報です。*記事・写真の無断転載を禁じます。

 

 

 

 

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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