Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのアートデート

Vol.20「『今様』―昔と今をつなぐ」展@ 渋谷区立松濤美術館開催期間:2017年5月21日(日)まで☆

【展覧会開催概要】
 渋谷駅周辺の喧噪を離れた閑静な高級住宅街に佇む松濤美術館では、伝統技法に接点を持つ6名の現代アーティスト、石井亨氏、木村了子氏、染谷聡氏、棚田康司氏、満田晴穂氏、山本太郎氏による作品が、イメージの元となった古美術作品と共に展示されています。
 
キーワードは『今様(いまよう)』。現在あまり日常会話で使わない『今様』という言葉ですが、「今風」とか、「当世風」というように言い換えられます。「本展を企画したジョン・ショスタック ハワイ大准教授によると、古い語や言葉を通して《現代アート》の意味を表現するある種の皮肉が内包されている。この場合「今様」は、(中略)暗に「昔と比べれば(発展的に)現代風」というニュアンスが意識的かつ適切に伝えられている」と慶應義塾大学名誉教授の河合正朝氏は説明しています。
 
 美術・工芸の伝統技術をしっかり受けついでいる30~40代の現代アーティスト6人が、どのように「発展的に現代風」な作品を見せてくれているかを発見してみましょう!
 

【日本画:「美人画」から「イケメン」画】
  木村了子氏は、顔料や墨を使い、和紙や絹に描く伝統的な日本画家。そして、美術史的には「美人画」のモティーフに則った作品を制作しているのですが、登場するのは男子!「美人画」の美人が「イケメン」に置き換えられているのです。
 
木村了子氏と作品《Aloha ‘Oe Ukulele-夢のハワイ》
 そして、場所や小物も現代のもの。《Aloha ‘Oe Ukulele-夢のハワイ》には、カクテルやスマホがテーブルの上に。ただ、こちらの絵には元になる伝統的な作品(本歌)があり、本歌は中村大三郎の《婦女》。着物美人が長椅子に寝そべっています。木村氏独特の「本歌取り」が楽しめます。『「本歌取り」とは和歌の表現技法の一つで、よく知られた古歌の一部を用いて作歌するもので元となる古歌を背景として自歌に奥行きを与え、情緒を重層化させるのです』と本展担当学芸員の大平奈緒子氏。モデルのイケメンは、木村氏の息子さんというのも作品に魅力を加えています。
 
中村大三郎《婦女》ホノルル美術館所蔵。今回はパネルでの展示

 【飛鳥時代の一木造を引き継ぐ現代彫刻】
  棚田康司氏は、奈良時代末から平安時代初期の仏像に主に用いられてきた一木造の技法で制作する彫刻家。一木彫りの仏像を残した仏師円空から多大なインスピレーションを得たと言います。展示されている「12の現れた少女たちNo.1~12」は、神社の建立時に使われていた端材から彫り出したもので、もともと木の中に居た少女が棚田氏によって生まれ出てきたような感じ。
 
棚田康司氏と作品《12の現れた少女たち》
 
棚田康司氏が影響を受けた円空の作品(『今様』展にて展示されています)
  それにしても、棚田氏の作品には、いわゆる「仏像」といった古めかしい雰囲気はなく、艶やかな少女の顔に金箔や銀箔でデコレーションしてある様子は最新のファッションのよう。「すでに子どもでもなく、まだ大人でもない。性を主張しはじめる前の少年少女」と棚田氏は表現していますが、うっすらとしたアイラインに縁どられてシャドウがほどこされた上目遣いの顔を間近にみたら、あまりにもセクシーでドキッとするかもしれません!
 
《12の現れた少女たちNo3.》部分
 
《木の花は八角と星形の台に立つ》部分

 【江戸時代の金属工芸、自在置物(じざいおきもの)が今に生きる】
  鉄や銅などの金属板を素材として、龍、蛇、虫といった生き物の模型を写実的に作るのみならず、それらの体節・関節の部分を本物通りに動かすことをも追求する自在置物(じざいおきもの)を制作し続けている満田晴穂氏。東京藝術大学在学中に後に師匠となる富木宗行氏に出会い、「自在置物は残さなければならない」と思った満田氏は、現在はそれに加えて、「明治が最高潮とされているその作品を超えることが大事だ」と考えているとのこと。
 
満田晴穂氏と作品《無為》。自在置物のムカデのつがいをベッドに置くインスタレーション。

   展示作品《無為》は、実物大で可動式の精巧なムカデのつがいが満田氏の自在置物なのですが、それがベッドの枕の上に居る事で、新しい意味を持つ現代的なインスタレーションになっています。ムカデは、つがいで出てくるという言い伝えから、仲睦まじい夫婦を表現しているともとれるのですが、一見するとゾッとする生理反応を起こすような作品!このような見る人々への働きかけが、技術的には最高潮の明治の自在置物を超える要素なのかもしれません。
  また、今回インタビューできなかった琳派を参照する日本画家山本太郎氏、友禅染で絵画を制作する石井亨氏、漆を素材に制作する染谷聡氏の「今様」も見ごたえあります。
 
山本太郎氏の《紅白紅白梅図屏風》
 
石井亨氏の《そば屋》

染谷聡氏の《今は昔は今》

  それでは、みなさん、good luck! アートと共に楽しいひとときを!

 【開催概要】
場所:  渋谷区立松濤美術館 東京都渋谷区松濤二丁目14番14号
会期:   2017年5月21日(日)まで
入館料: 一般500円(400円)、大学生400円(320円)、
高校生:・60歳以上250円(200円)、小中学生100円(80円)
 ※( )内は団体10名以上及び渋谷区民の入館料
 ※土・日曜日、祝休日は小中学生無料
 ※毎週金曜日は渋谷区民無料
 ※障がい者及び付添の方1名は無料
休館日: 5月8日(月)、15日(月)

菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
パトロンプロジェクトFacebook: https://www.facebook.com/patronproject/
菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

インスタグラム:https://www.instagram.com/cocomademois/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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