Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのアートデート

Vol.22 ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展@東京都美術館(上野) 開催期間:2017年7月2日(日)まで☆

【展覧会開催概要】
 かの名高いピーテル・ブリューゲル1世作《バベルの塔》が来日しています。現存する油彩画がわずか40点あまりというネーデルラント巨匠の名作が24年ぶりに日本にやってきました。また、奇想の画家として近年日本でも人気が高まりつつあるヒエロニムス・ボスの油彩画2点が初来日。ヒエロニムス・ボスの代表作としては、プラド美術館所蔵の『快楽の園』があり、そのSF的シュールさに既にファンの方も多いかもしれませんが、なんとブリューゲルもボスのファンの1人だったようです!今展に出品されているブリューゲルの版画作品『大きな魚は小さな魚を食う』は、奇妙な魚で画面が一杯。片隅に描かれた二足歩行のタラはなんと今展のマスコットキャラクターになっていますので、後ほどご紹介します。ボスの影響恐るべし!作者不詳(ヒエロニムス・ボスの模倣)とキャプションに書かれた作品が多く展示されていることからも、15~16世紀当時既にボスのファンが多数存在したことがわかります。
 ブリューゲルの《バベルの塔》、奇想の画家ボスの傑作2点が来たとなれば、アートデートに誘わない手はありません!


東京都美術館


東京都美術館外観。前川國男氏による建築

【驚異の想像力と写実!ブリューゲルの《バベルの塔》】 
 旧約聖書に登場するバベルの塔のストーリー。天に届く建物を建設しようと画策した人間たちに怒った神が、人間の言語を細分化してお互いに意思疎通ができなくしたという内容。そのバベルの塔と聞いてみなさんがイメージするのは、なんとなくこのブリューゲルの塔に似ているのではないでしょうか?しかし、ブリューゲル以前に他の画家たちによって描かれてきたバベルの塔は、もっともっとこじんまりしていて、細長い教会くらいのイメージ。実存しない巨大な伝説の塔、人々の野心と希望が凝縮したようなこのバベルの塔のイメージを驚異的な想像力と写実で創り上げたのがブリューゲルなのです。


ピーテル・ブリューゲル1世 《バベルの塔》 1568年頃 油彩、板 Museum Boijmans Van Beuningen, Rotterdam, the Netherlands

  一説には画面上に描かれた人々の数は約1,400人。それぞれの場所で思い思いの行動をとっています。この原画を観るのは確かに貴重なのですが、実際美術館は混んでいて立ち止まれなかったり、絵自体も59.9cm×74.6cmとかなり小さいので、細かい描写をじっくり見るのは困難。
 そこで、今回筆者が気に入ったのは、会場内で放映されている「バベルの塔」の3DCG動画。バベルの塔を下から上まで立体的に体感し、作業をしている人々や滑車が動いているところを見たりと、実際バベルの塔を訪ねたようなリアル感が得られます。東京藝術大学COI拠点による制作とのこと。原画と3DCG動画合わせての鑑賞をお勧めします。

 【ブリューゲルの不思議な版画『大きな魚は小さな魚を食う』と「タラ夫」】
 これもブリューゲルの作品。前出の《バベルの塔》を描いたのと同じ作家の作品とは一見思えません。ともすると建物よりも大きな魚のお腹を人間が引き裂き、その中から無数の魚が!そして、出てきた魚も、より大きな魚が小さな魚を食べています。「小さな権力は大きな権力にのみこまれる」という寓意も含んでいるようです。現代社会やみなさんの周りの環境と照らし合わせて独自の解釈をするのも面白いですね。そして、左やや上方部に、魚をくわえた足の生えた魚のモンスターがいるのにお気づきでしょうか?このモンスターこそが、「バベルの塔」展マスコットキャラクター「タラ夫」の元ネタです!


ピーテル・ブリューゲル1世(下絵) / ピーテル・ファン・デル・ヘイデン(版刻) 《大きな魚は小さな魚を食う》 1557年 エングレーヴィングMuseum Boijmans Van Beuningen, Rotterdam, the Netherlands


展覧会マスコットキャラクター 「タラ夫」
 
 
よく見ると、「タラ夫」が現物と徹底的に違うのがすね毛!もしかしたらこのすね毛が、キモカワなシュールさを一気に高め、Twitterでも人気沸騰するほどのオーラを発するまでになった一因かもしれません。「タラ夫」に会いに「バベルの塔」展へ行くというブログも見つけました。ちなみに、「タラ夫」もTwitterでつぶやいています⇒https://twitter.com/2017babel
 
アートデートといっても、真面目な作品ばかりだと、盛り上がらないかもですが、ここに「タラ夫」が登場することで、楽しさ倍増になる可能性大! 「タラ夫」とのフォトスポットもありますので、こちらも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。


「タラ夫」とのフォトスポット

 【奇想の画家 ヒエロニムス・ボスの傑作2点】
  巨匠ブリューゲルが虜になり、「大きな魚は小さな魚を食う」に出てくるようなボスに想を得たモンスターを数多く描かせるほどの魅力を持った画家ボス。ボスも現存する真筆(本当にその人自身が描いた作品)の油彩画がわずか20点と言われていますから、2点も観られるというのは貴重な機会です。小品ですが、見れば見るほど謎めいていて、寓意に満ちていますので、是非会場の解説と合わせてじっくり鑑賞してみてください!

 
ヒエロニムス・ボス 《放浪者(行商人)》 1500年頃 油彩、板 Museum Boijmans Van Beuningen, Rotterdam, the Netherlands


ヒエロニムス・ボス 《聖クリストフォロス》 1500年頃 油彩、板 Museum Boijmans Van Beuningen, Rotterdam, the Netherlands (Koenigs Collection)

ヒエロニムス・ボスの肖像画も展示してあります。結構マジメそうではないですか!

ヘンドリック・ホンディウス1世(版刻) 《ヒエロニムス・ボスの肖像》 1610年 エングレーヴィングMuseum Boijmans Van Beuningen, Rotterdam, the Netherlands

  それでは、みなさん、good luck! アートと共に楽しいひとときを!

 【開催概要】
会期:2017年4月18日(火)~7月2日(日)
会場:東京都美術館 企画展示室
休室日:月曜日 
開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
夜間開室:毎週金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)
観覧料:一般 1,600円 / 大学生・専門学校生1,300円 / 高校生 800円/ 65歳以上 1,000円

菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
パトロンプロジェクトFacebook: https://www.facebook.com/patronproject/
菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

インスタグラム:https://www.instagram.com/cocomademois/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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