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「大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱~海を越えた江戸絵画」が東京都美術館で始まりました(2026年7/25~10/18)

東京都美術館は開館100周年を迎え、記念事業として大英博物館所蔵の日本美術コレクション展が開催されています。大英博物館の日本美術コレクションの量と質は、世界的に素晴らしいことで知られています。いったい、どんな作品があるのか、何を見せてもらえるのかとても楽しみです。

1753年創立の大英博物館は、世界で最初の国立公共博物館です。先史時代から現在に至る約800万点の収集品があり、その中に約4万点にのぼる日本コレクションがあります。

ジャポニスムが流行した19世紀後半以降に収蔵された作品群の中から、今回は江戸時代の絵画作品を中心に約200件が来日しました。


西山完瑛《鸚鵡図》 1888年 大英博物館蔵© The Trustees of the British Museum

江戸時代を代表する浮世絵師である、春信、清長、歌麿、写楽、豊国、北斎、広重、国芳の教科書で見たことがあるような有名な作品。そしてイギリスから初めての里帰りとなった円山応挙の《虎の子渡し図屛風》、葛飾北斎の未出版の《「万物絵本大全」版下絵》、歌麿最晩年の肉筆画《文読む遊女》などじっくり見たい作品ばかり。
さらに、見事な襖絵です。青森県中泊町の旧家・宮越家に伝来する襖絵《春景花鳥図襖》と裏面の《名所風俗図襖(三保松原・清見寺》。シアトル美術館所蔵《琴棋書画仙人図襖》。大英博物館所属《秋冬花鳥図襖》。これらは一連の作品だということが判明しています。


「大英博物館 日本美術コレクション展」会場風景

大英博物館の日本コレクションは、18世紀前半ハンス・スローンから始まり、19世紀以降、ジャポニスムに惹きつけられた熱心な収集家たちが集めました。大英博物館中興の祖と言われる学芸員のオーガスタス・ウォラストン・フランクスは個人的に収集したものも寄贈、遺贈しています。外科医のウィリアム・アンダーソンは、いわゆるお雇い外国人として日本で働いていた間、収集に努め帰国してからは目録作成に携わりました。化学者・冶金学者のウィリアム・ガウランドもお雇い外国人で日本の造幣局に勤務していました。来日中に考古学に関心を持つようになり、日本考古学の父と呼ばれる古墳研究の先駆者です。収集したものは戻ってから大英博物館に所蔵されました。アーサー・モリソンは小説家として成功したのち、日本美術に興味を抱き、日本での滞在経験はありませんが個人的なつながりで浮世絵を収集しています。詩人のローレンス・ビニョンは学芸員で、東アジア美術への関心を深めていきました。彼らを紹介する部屋からスタートです。

円山応挙の《虎の子渡し図屛風》1781年~82年は虎の様子がなんとも可愛らしく、虎の子供への愛が感じられます。実業家で美術品収集家だった原三渓の旧蔵品です。
喜多川歌麿の《文読む遊女》1804年~06年は、歌麿の肉筆画です。2011年に発見されました。


円山応挙《虎の子渡し図屛風》1781年~82年 大英博物館蔵© The Trustees of the British Museum


喜多川歌麿《文読む遊女》1804年~06年 大英博物館蔵© The Trustees of the British Museum

衆目を集めるのは、襖絵です。マスコミ向け内覧会でも混んでいて人が多くて、なかなか近づけませんでした。
大英博物館所蔵の《秋冬花鳥図襖》と、今展に特別出品される米・シアトル美術館所蔵の《琴棋(きんき)書画仙人図襖》。この2つはかつて表裏だったことは以前から知られていましたが、近年の調査で、青森県の宮越家に伝わる《春景花鳥図襖》と裏面の《名所風俗図襖(三保松原・清見寺)》も一連の襖絵だったことが最近判明しました。
そもそもは、奈良県桜井市の談山(たんざん)神社のための襖絵です。これが明治時代に売却され、のちに3カ所に分蔵されました。


狩野宗眼重信《秋冬花鳥図襖》17世紀初 大英博物館蔵© The Trustees of the British Museum 

秋冬花鳥図襖》は、水辺に鳥が遊び、花や鳥の繊細な描写が桃山後期から江戸初期の狩野派の作品の特徴を表しています。左端の楓の下の鳥(雁)が実に愛らしい。1937年から大英博物館で所蔵されています。
裏面が、シアトル美術館所蔵の《琴棋(きんき)書画仙人図襖》です。1930年代に分離され、1951年からシアトル美術館所蔵となっています。分離される前の表裏に合わせての展示となりますので、後ろ側に回ってご覧ください。


狩野宗眼重信《琴棋書画仙人図襖》17世紀初 シアトル美術館蔵(Eugene Fuller Memorial Collection, 51.37.1-4)Photo: Susan A . Cole

青森の旧家が所蔵している《春景花鳥図襖》は、満開のヤマザクラの下に、雉子がいます。この名品は、2023年に画像がメールで研究者の所に送られてきたのが発端となって、発見されました。島尾新・元学習院大学教授と狩野派の研究者である山下善也・元京都国立博物館主任研究員が調査した結果、2024年に「岩や水辺の描写がつながり、鴈にも連続性があり、手の込んだ金銀の加飾技法も共通している」と一連の作品だと確認されました。1922年に宮越家9代目が、この4面を含む計18面を購入し、妻のためにつくった、はなれ「詩夢庵」にしつらえ、100年以上ひっそりと眠っていたそうです。お宝って、本当にあるのだと感嘆しました。


狩野宗眼重信《春景花鳥図襖》17世紀初 個人蔵


狩野宗眼重信《名所風俗図襖(三保松原・清見寺》17世紀初 個人蔵

2025年には、展示するために東京まで運ぶのが耐えられそうにないと、はがれそうな絵の具を日本画の技法であるニカワで定着させる応急処置が施されました。また、縁に付着している汚れの除去なども行いました。約400年前につくられた襖絵の最後の修理が行われたのは大正時代だということです。
一連の作品だと分かった後の調査で、作者は、絵師の狩野宗眼重信と断定されました。狩野永徳の弟・宗秀の門人です。

2026年7月25日~10月18日・東京都美術館、10月31日~27年1月31日・大阪中之島美術館(大阪市北区)
「大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱~海を越えた江戸絵画」が東京都美術館で開催中 HPはコチラ
*2026年8月13日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

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