Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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ブラボー!東京フィル2026年7月定期演奏会 チョン・ミョンフンの『カルメン』(演奏会形式)

生きている間にマシュー・ポレンザーニの生の声を聴けるなんて思っても見ませんでした。素晴らしかった。いつもMETライブビューイングの映像で歌っている姿を見ていたマシュー・ポレンザーニが、目の前で、同じ空間の中で声を響かせている。なんて幸せなことでしょう。

カルメン』は、誰もが知る名曲ばかりのオペラです。全ての登場人物が、合唱団が、全身全霊を込めて最高のパフォーマンスを見せてくれました。これぞ、オペラ、これぞ音楽です。オケメンバーと歌手たちのマエストロへの絶大なる信頼と尊敬を感じます。

名誉音楽監督のチョン・ミョンフンマエストロの登場から期待感が高まります。そして疾走する前奏曲で一気に観客を物語に引き込みます。合唱団は、新国立劇場合唱団。さすがのレベルの高さで物語に厚みを加えます。

チョンマエストロとオーケストラのコミュニケーションが抜群で、マエストロの想いがどんどん音になって反映されていきます。今回のコンサートマスターは三浦章宏が定年退職のため退任し、7月から首席客演コンサートマスターに就任した岡本誠司

カルメン役にステファニー・ドゥストラック。生真面目な男を誘惑する自由奔放な女を、魅力たっぷりに演じます。ドン・ホセ役のマシュー・ポレンザーニの声がホールに響き渡ります。

ドン・ホセの婚約者ミカエラにスラーフカ・ザーメチニーコヴァー。清楚な役を、清潔に演じます。聴いているこちら心が清められるような歌声です。こんなに存在感のあるミカエラ役は、これまでで初めてです。

そして、闘牛士役のアンドリー・キマチ。今まで見てきたこの役の歌手は、見た目は闘牛士にピッタリで背が高く姿勢がよく、とにかくかっこいいのですが、声がもう一つ出ていないことが多いように感じたのですが、今回は大満足。最初は少し不安定なところもありましたが、どんどん調子が上がり人気者の闘牛士役にハマりました。肺活量があるのでしょう。声がのびることのびること。

さらに、日本人歌手たちも遜色ないアンサンブルを見せました。

子供たちの合唱も大活躍です。世田谷ジュニア合唱団が30人ほど舞台に乗り、元気いっぱいに会場を和ませます。またマエストロのアイデアで、前奏曲の演奏中にフラメンコダンサーが踊ったり、ところどころで合唱団が立ち位置のまま演技をしたり、演出も楽しく、構成が抜群でした。休憩含め3時間です。

この素晴らしい企画がなぜ実現したのか。それは、チョンマエストロが6月にスカラ座で、音楽監督就任前に『カルメン』を10公演指揮したからです。その後、スカラ座と同じ主要キャスト4人をそのまま連れてきてくれました。何ということでしょう。そして奇跡のような公演が実現しました。

チョンマエストロの演奏会形式のオペラを見ると、いつも、舞台のオペラよりも想像力が広がるからでしょうか、これが観たかったのだと感じます。これまでにマエストロの『ファスルタッフ』『オテロ』『マクベス』を演奏会形式で拝見しましたが、どれもとても楽しめました。そしてマエストロの弾んだ心が伝わってきます。音楽と歌手たちが物語を想起させ、どんどんイメージが膨らんでいきます。オペラに酔いしれ、身も心も音楽に染まり、最高の時間を過ごしました。チョンマエストロは、2027年からミラノ・スカラ座音楽監督に就任します。

撮影=上野隆文/提供=東京フィルハーモニー交響楽団 東京フィルHPはコチラ

*2026年8月1日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます

 

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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